●○● 天声人碁 ●○●


2002年11月


◎2002/11/27 「流水先を争わず − 高川秀格22世本因坊」

私が二十歳の頃、好きな棋士は1952年から1960年まで「不滅の本因坊9連覇」を
達成した高川秀格九段(1915-1986)でした。

坂田栄男名誉本因坊の「鋭さ、熱さ」は感じられませんが、冷静な形成判断と
合理的な棋風が特徴だったように思います。

「高川囲碁読本(全5巻)」を買い求め、並べたこともありました。
また、高川九段が好んだ『流水先を争わず』という言葉にも惹かれました。

現在、囲碁の国際棋戦は韓国・中国に覇権を奪われたような状況です。
しかし、高川九段がオリンピックの時に、「日本柔道が外国に負けたとき、天地が
ひっくり返ったみたいに騒ぎ立てたものだが、あんな狭量の精神を我々囲碁人は
持ちたくない。それだけ海外に普及したと喜べば良いのである」。

と言われたそうです。

世の中「自己責任と競争」の社会ですが「勝ち負けが全てではない価値観」を持っ
ていたいものです。


◎2002/11/25 「日高敏之八段、傷害容疑で逮捕」

11月20日、日高八段は義母に暴行を加え左目を失明させたとして傷害容疑で
逮捕されたとのことです。

日高八段は今年から日本棋院常務理事に就任し、今後の活躍が期待されて
いたのに残念です。

私も含めて「囲碁は人格形成に有効」と考えている人も多いと思います。
そこで、このような囲碁にかかわる人の事件というのは辛いですね。
色々、事情があるのでしょうが・・・

プロ棋士も以前ほど閉鎖的な集団ではないと思われますが、まだ特別な意識が
あるのでしょうか?

また義父(故加田克司九段)の遺産相続がトラブルの原因のようですが、財産を
遺してあの世に行くのの考えものですね。


◎2002/11/18 「囲碁はコミュニケーション・ツール」

11/15(金)、NHKの番組「(特報首都圏)〜注目される囲碁の力〜 
▽子供たちの集中力を高める・・・」を見ました。

----------番組の解説-------------
「これまで部屋にこもってテレビゲームに没頭していた子どもたちが、
碁盤を挟んで相手と対峙、勝負に泣き笑う。
勝つことで自信を取り戻し、負けることで悔しさを味わい成長していく。

囲碁を使ったコミュニケーションは教育や福祉の現場でも行われていて、
集団生活が苦手な子どもたちや痴呆症のお年寄りたちの心を開いている。

番組では現在注目されつつある囲碁の持つ力を考える。」

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この放送の中で「安田泰敏・九段」が幼稚園でポン抜きゲームを教えて
いましたが、幼児の世界に何の抵抗もなく溶け込んでいました。
子供達にとって安田九段は自分たちと同じ盤上の人に映るのでしょうか、
なごやかな映像でした。

また、施設のお年寄りに幼児が囲碁を教えている場面がありましたが、
なんとも微笑ましい風景でした。

企業の囲碁仲間もこの厳しいご時世で、あちこちに散らばっていく
状況ですが、「囲碁」というコミュニケーション・ツールでふれあって
いければと思っています。


◎2002/11/12 「期待のルーキー、村川大介新初段」

関西棋院の院生で兵庫県西宮市立鳴尾北小6年の村川大介君(11)が
11月1日付でプロの囲碁棋士となることが決まったそうです。

11歳10カ月のプロ入りで、11歳9カ月でデビューした趙治勲王座(46)
に次いで史上2番目の年少記録となるとのこと。

今年の4月には中学1年で井山裕太君がプロ棋士となっており、関西の青
少年が元気ですね。

しかし、韓国・中国ではこの世代の逸材がゾロゾロと出てきており、日本も
棋士の育成方法が大きな課題だと思います。

私の場合、小学3〜4年頃(昭和三十年代前半)にある程度ルールがわかり、
兄と遊び半分で打った記憶があります。実力は10級〜20級程度でしょうか。

その頃、「囲碁」は大人の遊びの世界で、子供が興味を持つ世界ではなかっ
たように思いました。

その後、会社員になるまで「囲碁」との接点はありませんでしたが、学校や
地域のクラブ活動に「囲碁」が存在していたら、私自身も囲碁界も変わった
かもしれませんね。


◎2002/11/10 「趙治勲王座、まさかの時間切れ負け」

10月31日、第50期王座戦5番勝負第2局が行われ「王座・趙治勲九段の時間切れ
負け」という意外な結末で終局しました。

趙王座は「白が着手していたことに気付かず、相手の秒読みと錯覚していた」と語り、
絶句したと言うことです。

中国・上海の第1局は挑戦者・王銘宛九段必勝の内容でしたが、終局直前の見損じで
趙王座が先勝。
広島・因島の第2局は趙王座必勝の碁を「時間切れ負け」で1勝1敗と波乱の展開とな
りました。

それにしても趙治勲さんはハプニングの多い棋士ですね。
過去、コウの取り番を間違え「無勝負」という事件もありました。

盤面に対する極度の集中力から一瞬、空白状態になるのかもしれません。
しかし、囲碁界で最も魅力的な碁を打つ棋士であることは間違いありませんね。

私も空白状態になることがあるんですけど・・・  次元が違いますネ。

  ◇  ◇  ◇  ◇

NIKKEI NET、王座戦特別リポート」より抜粋

第2局は黒有利から終盤にかけて白が猛然と追い上げる展開。控室では「名局だ!」
との声も上がるほどの熱戦だった。
歴史に残る死闘を期待していたのだが、違った意味で確実に歴史に刻まれそうだ。

ふと気が付くと外は雨。暗闇の中で降りしきる柔らかな雨が趙王座の傷心を洗い流し
てくれるだろうか――。


◎2002/11/08 「第2回県民囲碁大会」

10月27日(日)、群馬県の「第2回県民囲碁大会」に参加してきました。
参加人数は県内の支部等から132名と盛況でした。
今回は小中学生や女性も多く、にぎやかな大会でした。

私はサポーター兼プレーヤーとして参加したのですが、以下の点が気に
なりました。

●対局開始まで、受付、参加費徴収、ルール説明、組合せ等の手続きに
 1時間近くかかっており、運営上の工夫が必要ですね。

●持ち時間45分見当の対局でしたが、終局がバラバラで次の組合せに
 影響します。
 私も1回戦は他の対局より遅く、持ち時間10分の時計を渡され対局しま
 した。
 2回戦も相手が一方的に時間を使っており、イライラさせられました。
 対局時計の数に制限はあるのですが、上位のリーグだけでも対局時計を
 使用してほしいものですね。

●私の3回戦の相手は碁笥の中の石をジャラジャラとかき混ぜるので、思わ
 ず「ジャラジャラするのはやめて下さい」と言いました。
 会議テーブルの対局ですと碁笥はすぐ近くにあり、気になります。
 マナーは守ってほしいものです。(少し神経質かな?)

運営には色々問題はありますが、今後もっと参加者が増えより大きなイベ
ントにできればと思います。


◎2002/11/05 「阿弥陀堂だより」

先日、久し振りに映画を観にいきました。「阿弥陀堂だより」という
映画です。

物語はシンプルですが、映像と音楽が美しいですね。
信州・飯山地方の素朴な自然・四季をきれいな映像で撮っています。
また全篇に流れる清らかで優しい音楽がなんともいえませんでした。

そして、清らかな感動を胸に帰宅し、いざネット対局。
こちらの方はなんとも品のない「キッタハッタ」の乱戦模様。

「うーむ!」、この落差は?? ----> 「だって人間だもの・・・」

    ◇  ◇  ◇  ◇

「阿弥陀堂だより」小泉堯史監督。寺尾聰、樋口可南子出演。


◎2002/11/02 「依田名人、4勝1敗で名人三連覇」

第5局は白番の依田名人が趙治勲王座を破り、名人戦三連覇を果たし
ました。名人三連覇以上は林海峰、趙治勲、小林光一に続いて四人目
だそうです。

第5局の解説では依田名人「捨て石の名局」とありました。相手に石を
取らせて厚みを築く。形勢判断の明るさがポイントとなります。
アマがもっとも苦手な部分ですね。

このシリーズのコメントを柳時熏プロは「趙先生の”激しさ”を依田さん
の”明るさ”が上回った」と書いていました。

私もこんな碁を打ってみたいと思いますが、その前に基本技術とヨミを
鍛えることが必要ですね。


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