●○● 天声人碁 ●○●


2002年12月


◎2002/12/31 「日本・世界の囲碁2002年」

個人的には加藤正夫九段の本因坊タイトル奪取が嬉しかったですね。
55歳での本因坊は最高齢だそうです。
日本棋院の副理事長にも就任されました。棋士としても、組織の改革者
としてもがんばってほしいと思います。

山下敬吾、張栩、羽根直樹、溝上知親・・・若手が追い上げてきました。
60歳を超えた林、大竹、工藤、50歳台の加藤、石田、武宮、小林もがん
ばっていますが、囲碁界の活性化には若手の台頭が必要でしょう。
ニューウェーブの活躍を期待しましょう。

かんばしくないニュースとしては、日高八段の逮捕、棋聖戦での後味の
悪い終局、王座戦の時間切れ等がありました。
棋士も一人の人間ですが、囲碁ファンをがっかりさせるような行動は慎ん
でもらいたいものです。

「ヒカルの碁」は今年もがんばってくれました。この「ヒカ碁」効果で囲碁に
興味を持った子供達は飛躍的に増加しました。
ただ育成方法の対応が遅れているようです。囲碁に興味を示した子供達
をゲームとして楽しめるレベルにどれだけもっていけるか、今後の大きな
課題だと思います。

今年からコミが5目半から6目半に順次移行していきます。韓国、中国は
すでに移行しており、日本も過去の勝率を調べ6目半を決定したようです。

◇ ◇ ◇ ◇

囲碁国際戦での日本の成績は、相変わらず不調でした。特に新しくできた
日本主催の「世界王座戦」は残念でした。女流の世界戦も不調でした。

現在、世界戦の中心は韓国です。特に若手の層の厚さは抜きん出ており、
しばらく韓国時代が続きそうです。

結局、どれだけ多くの人が関心を持ち支えているか、それが原動力になる
のでしょう。


◎2002/12/30 「私の囲碁2002年」

今年も随分対局しました。九割近くは「ネット対局」で、碁会所での対局は
昨年の半分近くになってしまいました。

いつでも自宅で好きな時間にできるのがネット対局のよいところですが、
やはり馴染みの碁敵を前に石を持って打つ「生碁」の方が「手談」という
意味では優りますね。
そして、勝った時の満足感、負けた時の悔しさも「生碁」の方が大きいと
思います。

でも、碁会所に出かけるのが億劫になるんですね。
来年はもう少し外で打つよう心掛けよう。

棋力向上の研究・勉強はめっきり少なくなりました。囲碁番組の解説を聞く
くらいで、本を読んだり、棋譜を並べるのはほんのわずかになりました。

勉強の方も億劫になってくるんですね。
それで対局数を増やしても勝率は上がりません。今後の課題ですね。

◇ ◇ ◇ ◇

会社の囲碁部は今年2月〜6月にかけて多くの部員が希望退職で会社を
去っていきました。
しかし合宿、月例会等の行事にはOBとして引き続き参加してもらっています。
残念ですが現役だけでは成り立たない状況なのです。

行事の内容は例年と大差はありませんが、もっと社外での活動を拡大できたら
よいと思っています。

◇ ◇ ◇ ◇

県の囲碁団体の活動では、各種大会のサポート、普及活動、広報活動の
お手伝いをさせてもらいました。

昨年までは県レベルの活動はほとんどなかったのですが、今年は色々な面で
参画することができました。
今後もこれらの活動を拡げていきたいと思っています。


◎2002/12/23 「夢見るタマゴ!大橋拓文二段」

12/21(土)19:30〜NHK総合TVの「夢見るタマゴ!熱血浜田塾の冬期講習」
という番組に大橋拓文二段が出演していました。

囲碁棋士のほかに競馬の騎手、プロボクサー、寿司職人、バスガイド、猿回し
など、10名ほどのさまざまな専門家のタマゴたちを集めてのトーク番組でした。

大橋二段の日常を紹介していましたが、朝から晩まで本当に囲碁漬けの毎日
なんですね。月収は6〜7万円といっていました。

ほかの分野のメンバーは新鮮な感じがありましたが、大橋二段は風貌がノッソリ
として独特の雰囲気がありました。

「夢を追う」っていいですね。
年齢を重ねると夢が少しづつ小さくなっていきますが、大小は関係ないですよね。
人それぞれの夢を抱いて日々精進しましょう。

** オオハシ ヒロフミ、昭和59年5月25日生。東京都。
   菊池康郎氏に師事。平成14年入段、同年二段。


◎2002/12/16 「王銘エン九段、王座戦を制す」

 趙治勲王座と王銘エン九段の第50期囲碁王座戦五番勝負第5局は12日朝から
静岡県土肥町ので行われ、王九段が中押し勝ちし、3勝2敗で初の王座を獲得した。
   −−− [12月13日/日本経済新聞] −−−


今回の王座戦は「時間切れ負け」を含め波乱の五番勝負でした。

TVで解説する王銘エン九段は歯切れがよく、アマチュアにも分かり易い内容で
ファンも多いと思います。

タイトル奪取の感想で「趙先生に勝てるとは思わなかった。こんなうれしいことは
ないです」、「ただ夢中で打ち進んでいたら勝てたので嬉しい」
王銘エン新王座の素直な喜びが伝わってくるようです。

王銘エン九段には「何事も素直に受け入れる心の広さ」のようなものをを感じます。
今後も「厚み」に力点に置いた面白い碁を披露してほしいと思います。

一方のタイトルを失った趙治勲九段、やはり対局過多が影響したのでしょうか。
でもまた復活してくるでしょう。鬼気迫る勝負魂を見せてほしいと思います。


◎2002/12/11 「囲碁の共同研究」

ここ数年、国際棋戦の序列は韓国、中国、日本という順のようです。
韓国、中国躍進の要因として若手を中心とした「共同研究集団」の役割が
大きいようです。

未解決のテーマを集団で研究し、ある程度の結論を出した時点で色々な
ケースの対処法を「訓練」し、自分のものにしているように思われます。

一方、従来の日本の大棋士(坂田栄男、藤沢秀行等)の勉強方法は研究
というより「修行」に近いイメージですね。
昭和30〜40年代の木谷道場は「共同研究集団」に近いかもしれません。

いずれにしても、現在の日本の研究方法は韓国・中国に遅れをとっている
ようです。

「個人と集団」がどのよう行動すれば最大限の成果を得られるか。
これは囲碁だけでなく政治、経済、科学等あらゆる分野での永遠のテーマ
ですね。


◎2002/12/04 「羽根天元、3連勝で防衛決める」

羽根直樹天元(26)に趙善津九段(32)が挑戦していた「天元戦五番勝負」
は羽根直樹天元が3連勝で初防衛(11/28)。

TV解説などで見る羽根天元の印象は「冷静」の一言ですね。何が起こっても
泰然自若。本人は「悲観派で短気を起こしやすい」とのことですが、そうは見
えません。芯の強さを感じます。

12月26日、国際棋戦の春蘭杯準々決勝で羽根天元は韓国の゙薫鉉(九段)と
対戦します。こちらの方も頑張ってほしいものです。

一方、敗れた趙善津九段は目立たないタイプですね。本因坊10連覇中だった
趙治勲王座から本因坊位を奪取したものの、一期で王銘宛九段に明け渡して
しまいました。
話し方も控えめで同じ韓国出身の柳時熏七段とは対照的ですね。

「静と動」、「陰と陽」両方あるから面白いんですよね。


◎2002/12/01 「好調!梅沢由香里五段」

TVアニメ「ヒカルの碁」を見ています。大人が見ても結構ワクワクしますね。
放送の最後に「梅沢由香里のGoGo囲碁」というコーナーがあり、梅沢五段が
入門講座のワンポイントレッスンをしています。

梅沢由香里五段は囲碁界のアイドルとしてTVや公開対局等で有名ですが、
囲碁普及の貢献度も大変なものです。
師匠は加藤正夫本因坊で師弟ともに私のファンです。

最近、顔がふっくらしてきましたね。胃腸が丈夫になり、食べ物がおいしくなった
とのことです。
また今年新年早々に結婚し、精神的に安定したのかも知れませんね。

囲碁の成績も今年は30勝10敗(11/29現在)と絶好調です。
女流プロ最強戦では決勝に進出し、12/16に岡田結美子五段と対戦します。
初タイトルめざしてして頑張ってほしいものです。


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