●○● 天声人碁 ●○●


2003年2月


◎2003/02/28 「山下敬吾七段、最年少で新棋聖に」

第27期棋聖戦七番勝負の第5局は26、27の両日、富山県高岡市で打たれ、
白番の挑戦者・山下敬吾七段(24)が王立誠棋聖(44)に1目半勝ち。
対戦成績4勝1敗で、初の棋聖を獲得した。24歳の棋聖は最年少記録。
王棋聖の4連覇は成らず、十段の1冠に後退した。
(朝日新聞より抜粋)


囲碁三大タイトル(棋聖・名人・本因坊)の一角に若手のヒーロー山下新棋聖が
誕生しました。
若手の台頭が日本の囲碁界を活性化する起爆剤となればいいですね。

韓国の囲碁界はイ・チャンホ(李昌鎬)の登場で一気に盛り上がりました。
当時、十代で次々とタイトルを奪取し、国民的英雄の扱いで韓国囲碁界の発展に
寄与しました。

最年少棋聖の誕生による「山下効果」が青少年(ヒカルの碁世代)の囲碁熱に
火をつけてくれればいいのですが・・・


◎2003/02/25 「棋聖戦第4局、山下勝ち、奪取にあと1勝」

第27期棋聖戦7番勝負、王立誠棋聖と山下敬吾七段の第4局は19、20日、
宮崎市の宮崎観光ホテルで行われ、黒番の山下が中押し勝ちした。
山下のパワーがさく裂した異例の2日目午前中の終局で、対戦成績を3勝1敗
とし、棋聖奪取にあと1勝とした。

解説の片岡聡九段は「山下七段の力強い攻めが印象に残りました」と話している。
第5局は26、27日、富山県高岡市の雨晴温泉で行われる。
(読売新聞より抜粋)


    ◇  ◇  ◇  ◇

山下七段の快進撃ですね。一方、王棋聖の強靭な粘りがイマイチの感じです。

先日、実家の法事で住職の読経が一時間(途中10分休憩)近くあり、ふだん正座
していない私はすっかり参ってしまいました。

山下七段はじめ緑星学園出身の棋士は最後まで正座で対局しています。
健康のためには洋風の生活様式のほうがいいのでは、という意見もありますが、
どうでしょうか・・・

韓国、中国等はもっぱら椅子対局で「ゲーム」という印象が強いのですが、
畳に正座となると「芸事」という感じで、空気が違うように感じます。
この日本的な雰囲気、いつまでも残してほしいものです。


◎2003/02/19 「時代劇の面白さ」

今年になって映画を2本見ました。
いずれも時代劇で「たそがれ清兵衛」と「壬生義士伝」です。

この2本には共通点があります。
・時代背景(幕末)
・境遇(下級役人)
・技量(剣の使い手)など

最近、時代劇が見直されているようです。
意識の多様化にともない、現代の人々は心のよりどころを模索しているように
思います。
そんな中で時代劇の登場人物は確固たる信念を持って生きており、その姿に
共感するのでしょうか。

この時代(幕末)、囲碁では「本因坊秀策」等の名手が活躍していたのでしょう。
侍だけではなく、棋士を主人公にした時代劇ができたらいいですね。

    ◇  ◇  ◇  ◇

「たそがれ清兵衛」:山田洋次監督、藤沢周平原作、真田広之、宮沢りえ出演
「壬生義士伝」:滝田洋二郎監督、浅田次郎原作、中井貴一、佐藤浩市出演


◎2003/02/17 「梅沢由香里さん選曲 TOMORROW」

2/17、第24期女流鶴聖戦・決勝戦で大沢奈留美二段に敗れた
梅沢由香里五段が新聞に書いていました。
   (以下、朝日新聞2/15土曜版「be/ゆ〜ったり1曲」より抜粋)

−前略−

 6歳のときに突然、碁盤と碁石を買ってきて、碁を始めるきっかけを
つくってくれた父が、碁は感覚や直感をつかさどる右脳を駆使するもの
だって、私が中学生のころ、どこかで聞いてきたんですね。
日本語は逆に言語をつかさどる左脳に働きかけてしまうから、なるべく
英語の歌を聴きなさいと言われて、洋楽へ走ったんです。

 それで父が好きだったカーペンターズを私も気に入ったら、カセットの
アルバムを全部、買ってくれました。

 いまだに音楽はメロディー重視で、歌詞は最初から聴こうとしません。

 ただ1曲だけの例外が岡本真夜さんの「TOMORROW」です。
プロ試験に失敗し続けた大学4年のとき、自分を勇気づけるテーマソン
グでした。
対局中も「涙の数だけ強くなれるよ」という冒頭の歌詞を、頭のなかで
何度も何度も繰り返していました。

−後略−


囲碁における右脳の役割は構想、ひらめき、形など感覚的なもので、
一方左脳の役割は定石、手筋など知識・記憶ということでしょうか。

年齢を重ねると知識・記憶など左脳にたよることが多くなるように思います。
碁を強くなるためには右脳(感覚)を磨くことが大切なようですね。

美しい自然に感動したり、芸術に触発されたり、日々の小さな出来事に興味
を持ったり、そういう気持ちが大切ということでしょうか。


◎2003/02/15 「県女流アマ囲碁大会」

先日、県の女流アマ囲碁大会がありました。
全国大会への出場を決めるトーナメント戦(オール互戦)と親睦戦(ハンディ戦)
で30名が出場しました。

昨年も30名くらいでしたが囲碁人口が上昇気運の現在、もう少し増えても
いいかなと思いました。(PRの問題もあるのでしょうが・・・)

大会での一コマ
小学生二人(4〜5年)が控えめな年配の婦人(60〜70代)と仲良くなり、
応援したり、一緒に写真をとったり、手紙を出すので住所を聞いたりと、楽し
そうでした。
世代が離れた見ず知らずの人と、たちまち友達になってしまう少女達の柔軟
さと出会いのきっかけとなった「囲碁」の力にうれしいくなってしまいました。


◎2003/02/14 「団体戦の面白さ」

先日、私の所属する企業の囲碁クラブと市役所の囲碁クラブで親善碁会を
行いました。
双方、12名づつの団体戦で一人3局対戦し成績を競う大会です。

今まで5回行い、わがクラブは第1回を僅差で勝ったものの、その後4連敗
という結果でした。

この大会はハンディ戦ですので段級位の設定が勝敗を左右します。
今回は連敗していたので今までの成績を考慮し、何人かはハンディを落とし
て戦い、やっと勝ち越すことができました。
ハンディを落としての勝利でしたので、喜びもイマイチというところでしょうか。

自軍の結果に一喜一憂しながら、勝負の緊張感を共有できるのは団体戦の
面白さですね。

また勝ち負けだけでなく、同じ地域の囲碁ファンとの交流もよい刺激になります。


◎2003/02/10 「棋聖戦 第3局、王立誠1勝返す!」

王立誠棋聖に山下敬吾七段が挑戦している棋聖戦七番勝負第3局は黒番の王が
4目半勝ちし1勝を返した。
これまでのシリーズどおり、「実利の王」、「厚みの山下」とはっきり分かれたが、
随所でポイントを上げた王が逃げ切った。これで今期七番勝負は王の一勝二敗に。
(日本棋院HPより抜粋)


    ◇  ◇  ◇  ◇

山下七段は厚みで勝負していますが、厚みの碁というのは難しいですね。
私も厚みが好きで結構な壁を築くのですが、途中で地合いが足りないのではと不安
になり、方向転換して苦戦を強いられることが度々あります。

勝負には不安を超える「勇気」が必要ですね。
ただ、「勇気」と「無理筋」を間違えないようにしないと・・・


◎2003/02/05 「国際棋戦の位置付け」

棋聖戦第2局が行われている1/29、「トヨタ&デンソー杯第1期囲碁世界王座戦」
決勝が行われ韓国の李昌鎬九段が中国の常昊九段を破り優勝しました。

「世界王座戦」は「富士通杯・世界囲碁選手権」とともに日本主催の2番目の国際
棋戦です。賞金額も国内棋戦と並ぶ額ですが注目度はイマイチで、スポンサーも
的が外れたのではないでしょうか。

決勝がおこなわれた1/29は「棋聖戦第2局」の1日目で、囲碁ファンはそちらの方に
興味を持ったのではないでしょうか。

盛り上がりがイマイチなのは国際棋戦における日本棋士の不調でしょう。
世界代表32人のうち13人が出場、ベスト8に王銘エン王座と王立誠棋聖の2人が
勝ち上がったものの、準々決勝で姿を消してしまいました。
国内の棋士が姿を消しては、盛り上がりが欠けるのはやむ負えませんね。

不調の要因として国内棋戦の持ち時間が5〜8時間に対し、国際棋戦の持ち時間
は3時間と短いのも影響していると思います。そうはいっても国内棋士が上位にいか
ないかぎり、囲碁ファンは盛り上がらないでしょう。

がんばってほしいですね。


◎2003/02/02 「棋聖戦 第2局、山下七段連勝」

第27期「棋聖戦挑戦手合七番勝負第2局(1/29・30)」は挑戦者山下敬吾七段
が王立誠棋聖に中押し勝ち。これで山下は二連勝。(読売新聞より抜粋)


    ◇  ◇  ◇  ◇

形勢は二転三転しましたが、最後は黒番の山下七段が乱戦を制しました。
王棋聖は乱戦を得意としていますが、今回は苦戦しています。
それにしても山下七段は若いのに動じないですね。子供の頃からの修行の
賜物でしょうか。

衛星放送で小林覚九段が少しの時間ですが解説していました。
小林九段は元棋聖ですが、二年ほど前お酒のうえでの殴打事件で一年近く
謹慎していました。
解説は穏やかな語り口で、視聴者にもわかり易く好印象でした。
人生過ちもありますがそれを上回る感動をファンに、与えてほしいものです。


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