●○● 天声人碁 ●○●


2003年3月

◎2003/03/30 「十段戦、高尾八段が勝ちタイに」

 王立誠十段に高尾紳路八段が挑戦している「第41期十段位決定五番勝負」
の第二局は、王先勝の後を受けて3/27、黒番の高尾が1目半勝ちした。

 王が足早に先行し、高尾がしぶとく食らいつく展開。「ウサギとカメの戦いやなあ。
両者の個性がぶつかりあい、とても新鮮な感じやで」と解説の宮本直毅九段。
(産経囲碁Webより抜粋)


       ◇  ◇  ◇  ◇

高尾挑戦者が勝ち1勝1敗のタイ、面白くなりましたね。
今後の展開が楽しみですね。

今回の対局地は愛知県蒲郡市の西浦温泉「銀波荘」、囲碁・将棋のタイトル戦が
百回以上行われたそうです。
蒲郡(がまごおり)という呼び方はめずらしいですね。

波の静かな三河湾の沿岸に位置し、私の郷里から近いので「海水浴」や「潮干狩り」
に行ったものです。

蒲郡市は愛知県にあり、本州のほぼ中心に位置しています。
2つの大きな渥美半島と知多半島に囲われた海辺の観光地で、
三河湾国定公園に指定されています。
約28kmの海岸線沿いに4つの温泉地を持ち、市内には日本の
文化を感じさせる神社や仏閣の多い、美しい土地です。
海から山にかけ変化に富んだ景勝は、万葉の歌人や近代の
作家にも愛され、数多くの文人が好んで訪れました。



◎2003/03/27 「NHK杯、三村九段が優勝」

3/23放送の「NHK杯決勝、王立誠十段 対 三村智保九段」、眠気を我慢
しながら見ていました。結果は三村九段の初優勝となりました。

放送時間の関係で最後は手順のみとなりましたが、「三コウ」がらみの応戦
で最後は王十段に勘違いがあったのか、あっけない幕切れでした。

しかし、難解な碁で私などの実力では理解できませんね。解説の王銘エン
王座も困惑している場面が何度かありました。

三村九段は現在、十段戦を戦っている高尾紳路八段と同じ藤沢秀行名誉棋聖
門下ですね。
新人王戦優勝、名人戦リーグ入りなどの戦歴があります。プロの間では本格派
として評価は高かったものの、タイトル戦ではイマイチという感じでした。今後の
活躍がが楽しみです。

今期のNHK杯では準決勝に勝ち進んだ、小松英樹九段の活躍もありました。
過去、依田紀基名人と並ぶ逸材と注目されましたが、最近はあまり目立った
活躍が見られません。

タイトルを「取れる棋士」と「取れない棋士」、技量だけでは計れない「何か」
あるような気がします。


◎2003/03/24 「羽根直樹、李昌鎬に屈す!」

 第4回春蘭杯決勝三番勝負は3月16、18日に、韓国・ソウルで1、2局が行われ、
ともに中押しで李昌鎬(イ・チャンホ:韓国)が羽根(日本)を圧倒、15度目の世界戦
優勝を果たした。
 自身初、日本勢としても3年ぶりの世界戦優勝の期待がかかっていた羽根直樹
天元だが、李昌鎬九段に2連敗で敗れ夢は叶わなかった。
(日本棋院HPより抜粋)


       ◇  ◇  ◇  ◇

羽根天元、残念でしたね。
それにしても李昌鎬は強い、世界戦決勝の成績は15勝2敗だそうです。
驚異的ですね。

この棋戦は中国の主催ですが過去優勝がありません。
主催国ファンは悔しい思いをしているでしょうね。

ところで春蘭杯の「春蘭」というのはいいですね。東洋ランの一種だそうですが
西洋ランの華麗さにくらべ、清楚でいかにも日本的な美しさだと思います。


◎2003/03/17 「桐山杯、73歳の菊池アマが柳七段を破る」

 アマチュアも加わって早碁日本一を争う「阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦」
で菊池康郎さん(73)は予選Cで趙祥衍五段を下し、3/10予選Bで藤沢一就八段
(不戦勝)、柳時熏七段を破りアマチュアでただ一人勝ち抜いて予選A進出を決めた。
菊池さんは3/24の予選Aで林海峯名誉天元と対戦する。 (毎日新聞より抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

柳時熏七段といえばは過去、王座、天元などのタイトルを取った強豪。大した
ものです。73歳でこの快挙、若い時からの鍛錬がモノをいうのでしょうか。

世の中、60を過ぎるとなんとなく引退という風潮ですが、ヤル気・実力のある
人はたくさんいます。
このパワーを生かせば日本経済ももう少し何とかなるんじゃないかと思うので
すが・・・

ただ、若返りが必要な分野もありますから、ベテランと若手の力をバランスよく
配置するのがポイントですね。


◎2003/03/10 「十段戦、王立誠十段が先勝」

王立誠十段に高尾紳路八段が挑戦する「第41期十段位決定五番勝負」第1局は
6日、黒番の王が6目半勝ちし、初戦を飾った。(産経囲碁Webより抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

棋聖戦で山下敬吾七段に1−4でタイトルを奪われた王立誠十段、ここまで15連勝
中の高尾紳路八段を迎えての緒戦は王十段が難解な碁を制し意地をみせました。

若手の台頭に中堅、ベテラン陣は防戦に大変ですね。
でも囲碁界の活性化には若手スターの登場は追い風といえるでしょう。

[7大タイトル保持者]
名人 依田紀基(37)
棋聖 山下敬吾(24)
本因坊 加藤正夫(55)
十段 王立誠(44)
天元 羽根直樹(26)
王座 王銘宛(41)
碁聖 小林光一(50)


今回の対局地は新潟県・佐渡弥彦米山国定公園の岩室温泉「高島屋」。
これまで囲碁・将棋のタイトル戦が何度も行われてきたところだそうです。

もう20年くらい前のことでしょうか、職場の慰安旅行で弥彦神社に行った
ことがあります。泊まったのは岩室温泉であったか記憶にありませんが
弥彦山スカイラインの山頂は風が強く、寒かったのが印象に残っています。

岩室村は新潟県のほぼ中央の海岸沿
いに位置し、岩室、田ノ浦温泉を有
する湯の街です。特に岩室温泉は、
江戸時代より北国街道の温泉地とし
て栄え、弥彦神社への参拝客でにぎ
わい、今にいたっています。


◎2003/03/07 「小林泉美、女流名人位奪回」

 青木喜久代女流名人(34)に小林泉美女流本因坊(25)が挑戦する「第15期
女流名人戦」三番勝負第2局が、小林先勝のあとを受け、3月5日「日本棋院」で
行われ、白番・小林が中押し勝ちし、女流名人位を奪回。女流本因坊と合わせ、
二冠に返り咲いた。(産経囲碁Webより抜粋)


       ◇  ◇  ◇  ◇

女流碁界では女流本因坊、女流名人と二冠の小林泉美さんが頭ひとつ抜き出た
存在ですね。

もう四年ほど前のことでしょうか、会社の囲碁クラブで青木喜久代女流名人(当時)
と宮崎志摩子三段を招き指導碁会がありました。

私は青木プロに打ってもらったのですが、どこにでもいる「普通の女性」という印象
でした。でも囲碁棋士としてここまで登りつめるには、並外れた勉強の結果と思わ
れます。

どんな世界でも子供時代の修行・訓練が一流を育てるんですね。
そして、我が子をその道に進めようと動機づけをした、親も一流ということでしょうか。


◎2003/03/04 「敗者の美学」

「勝つことも大切だけれど、負けた姿が立派だということはさらに大事。
そんな戦い方を心がけてください」

北海道岩見沢市でおこなわれた「第一回依田紀基杯争奪全道こども大会」
での依田名人の挨拶。(週刊碁より)


       ◇  ◇  ◇  ◇

子供向けの挨拶ですが、大人でも難しいことですね。
負けた悔しさをどう態度で示すか、こういう場面でその人の器量が問われます。
逆に勝ったときの対応も同様です。

勝っても負けても相手から、「あの人ともう一度打ちたい」と思われるように
なりたいものです。


◎2003/03/02 「棋聖戦余話」


プロ棋戦序列NO.1の棋聖戦は山下敬吾七段が激闘を制し、棋聖の座を射止め
終止符をうちました。

「余話1.雨晴温泉」

勝負を決めた第5局の開催地は富山県高岡市の雨晴(あまはらし)温泉。
初めて聞くめずらしい地名です。
景勝地で歴史もあり、訪ねてみたいとところですね。

以下(雨晴観光協会HPより抜粋)

「能登半島国定公園・雨晴海岸」
 万葉の歌人、大伴家持は、この雨晴の風景をこよなく愛し、多くの歌を詠み
ました。
雨晴海岸は、岩礁、白い砂浜、青松がつづく景勝地です。ことに、浜から眺める
岩礁、そして富山湾越しに見る、3000メートル級の立山連峰の雄大な眺めは、
四季それぞれに変化し、息を呑む美しさです。

「義経岩」
 文治年間に、源義経と弁慶が、山伏姿に身をかわし奥州へ落ち延びる途中、
にわか雨の晴れるのを待ったという岩。
地名「雨晴」の由来ともなっています。
 伝説では、弁慶が持上げたと言われるこの岩石は、上代の古墳の石槨であろ
うという説もある。
昔、辺りが海となっていなかったころの貴人を埋葬した古墳だが、波が上の部分
をさらってしまい、石槨だけが残ったものと言われている。


「余話2.アゲハマの交換

手数が364手と多かったため、最後の半コウ争いで石が足りなくなり、アゲハマを
交換して打ち継いだそうです。
プロの対局ではあまり聞いたことがありませんね。
(私達の碁会では時々こんなこともありますが・・・)


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