●○● 天声人碁 ●○●


2003年8月

◎2003/08/25 「碁聖戦第4局、小林碁聖がタイに持ち込む」

 8/20、東京の日本棋院会館で打たれた第二十八期碁聖戦五番勝負第四局は、
小林光一碁聖が依田紀基名人に黒番半目勝ちし、対戦成績を2勝2敗とした。
最終局となる第5局は8月27日、同会館で行われる。

 第28期碁聖戦は出だし連敗で早々と窮地に追い込まれた小林光一碁聖が2度
のカド番をしのぎ、最終局決戦に持ち込んだ。
 立ち上がりはともに慎重だった。黒(=小林碁聖)の実利に白(=依田紀基名人)
は厚みで対抗する両者の持ち味がよく出た展開。

 午前中の形勢はでは「白(=依田名人)を持ちたい」と立会人の安倍吉輝九段
は判定した。午後の戦いに入り、白に疑問手が出て形勢は逆転ムードが漂った。
中央に予想外の黒地が確定したあたりで「はっきり黒(=小林碁聖)がよくなっ
た」と安倍九段。最後は小林碁聖が辛うじて半目を余した。

                        ----NIKKEI-NETより抜粋----

     ◇  ◇  ◇  ◇

小林碁聖が踏ん張りタイに戻しました。4年前の碁聖戦も同じ組み合わせ
(依田碁聖[当時] 対 小林挑戦者)だったようですが、この時は依田現名人が
2連勝の後3連敗し碁聖位を奪取されました。

今回も第4局までは同じパターンで進んでいますが、第5局はどうなるでしょうか。
小林碁聖が防衛するか、依田名人が二冠となるか、注目の一番ですね。

     ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局は市ヶ谷の日本棋院「幽玄の間」。この「幽玄の間」は川端康成揮毫
の掛軸があり、トップ棋士のみが対局できる特別室です。

最近、中学生や高校生の修学旅行で日本棋院を見学するケースが増えている
そうです。(「幽玄の間」は特に人気)
これも「ヒカルの碁」の影響でしょうか。うれしいことです。


◎2003/08/22 「2003/夏季休暇」

電力不足が懸念され、2日増えた夏季休暇もアッというまに終わってしまいま
した。

ハイキングを2回予定し、1回目は上信高原の「湯の丸山」に登ってきました。
山頂から西側は見えませんでしたが、東側の湯の丸高原、鹿沢方面は一望
でき、高原の空気と可憐な草花に触れ、爽やかな一日でした。

2回目は谷川岳を予定していたのですが雨模様で断念し、近くの谷川温泉
に行くことにしました。
せっかくきたので、登山口となる上越線土合(どあい)駅に寄り、460段の
階段(高低差70m)がある地下駅(下り専用)を見てきました。
結構疲れますね。

30年前頃にきた時は土合駅前も登山客で結構にぎわっていましたが、今は
無人駅で1日5、6本しか停車しないようです。上越新幹線と車の利用が増え
た影響でしょうか、ちょっと寂しいですね。

   ◇  ◇  ◇  ◇

あとは「碁敵O氏」からの誘いで、2回ほど碁会所に行きました。大会以外は
ほとんどネット対局でしたので、碁会所は久しぶりでした。
7〜8名ほどの常連が集まる碁会所ですが、ネット対局では味わえない臨場
感がいいですね。

   ◇  ◇  ◇  ◇

年齢を重ねるにしたがい、連休とか年中行事などに対してトキメキが薄くなっ
ていくように思います。
自分の行動に色彩や濃淡が鮮やかになるようにしたいものです。


◎2003/08/16 「囲碁界の母・喜多文子」

先日、図書館で「囲碁界の母・喜多文子(中山典之 著 )」を読んできました。

喜多文子は明治八年生まれ、昭和二十五年五月没、七十五歳の生涯でした。

文子は女性棋士・林佐野の養女となり、二十一歳で三段に進み、その年、能楽師
喜多流十四代家元・喜多六平太と結婚。 それから十三年間、家事と家元の裏方の
仕事に没頭し、ぷっつり碁をやめてしまいました。

十三年が経ち棋界に復帰し、三十六歳で四段、四十七歳で五段となり、方円社の
後身である日本棋院でおもに女性たちの指導にあたりました。棋界の、とくに女性
棋士の先達として見事な晩年を全うしました。死後文子の功績を称え七段位を送ら
れました。


     ◇  ◇  ◇  ◇

明治から大正期では女性棋士はほとんど存在しなかったようです。
この頃、ほとんどの子供達は自分の進路が運命のように決められていたように思い
ます。

決められた道で生活していくには、必死で修行するより道はありません。
この子供の時から鍛える、「頭で考えるのではなく、体で覚える」ことが重要だと思い
ます。

最近は高学歴社会となりましたが、体で覚える感覚が鈍っているように思います。
職業の選択も今では自由にできますが、それが幸せかどうか・・・


◎2003/08/12 「打ち込め青春・高校囲碁選手権」

 第27回全国高校囲碁選手権が7月22日から24日までの3日間、東京・
日本棋院で開催された。男子団体戦は筑波大学付属駒場(東京)が3年ぶ
り2度目の優勝、女子団体戦は藤村女子が圧倒的な強さを見せて5連覇を
達成した。
 2日目午後からの個人戦では男子が高津昌昭君(長野・須坂東1年)、女
子が下坂美織さん(北海道・函館白百合女子1年)がそれぞれうれしい初優
勝を遂げた。

                  ----週刊碁より抜粋----


     ◇  ◇  ◇  ◇

高校野球は夏の甲子園が真っ盛りです。郷土チームの勝敗に一喜一憂
しながらのTV観戦は夏の風物詩ともいえるでしょう。

囲碁も毎年夏に「打ち込め青春・高校囲碁選手権」が開かれています。
団体戦は伝統ある高校が強いですね。先輩から後輩に技術・精神力等
がうまく受け継がれているのでしょう。

「技術の伝承」、これはどんな世界でも重要なことですが、大変むつかしい
ことです。これが成功した国は「物心共に豊かな国」といえるでしょう。


◎2003/08/04 「碁聖戦第3局、小林碁聖が1勝返す」

 7/31、沖縄県那覇市で打たれた第二十八期碁聖戦五番勝負第三局は、小林
光一碁聖が依田紀基名人に白番四目半勝ちし、対戦成績を1勝2敗とした。
 第4局は8月20日、東京・市谷の日本棋院会館にて対局予定 。

 カド番の小林光一碁聖が難戦を制し、待望の1勝を挙げた。双方の石が絡み合
い、難解な局面の連続。控室では「右下で白がうまくやった」の声が多かったが、
武宮九段は「細かい寄せ勝負」を予想した。中央の戦いが最後の勝負どころ。この
折衝で白が中地を大きくまとめ、勝勢を決定づけた。

 「黒は左辺109以下の打ち方が問題だったのでは。白は薄かった中央がうまくま
とまり、ここで勝負あった」と武宮九段は総括した。

                        ----NIKKEI-NETより抜粋----


     ◇  ◇  ◇  ◇

小林碁聖が1勝を返しましたが、まだ依田名人の優位は変わりませんね。囲碁ファ
ンとしては最終5局まで見たいものです。

依田名人、タイトル戦ではほとんど和服です。日本人の体型からすると和服の方が
絵になりますね。
私も所帯を持った頃、和服を作ったのですが2・3回着たのみで、ここ20年近くは
タンス中です。今度の正月には久しぶりに着てみようかな。

     ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は沖縄県那覇市。沖縄に行ったことはないのですが、イメージとし
て最初に浮かぶのは、戦争でもっとも大きな悲劇の地だったということでしょうか。
戦後世代ですので実態はよく分かりませんが、今でもその傷跡を背負っていると
思います。

沖縄をテーマにした歌曲で「さとうきび畑」というのがあります。森山良子さん等が
歌っていますが、この曲を聴くと胸が詰まります。もうすぐ終戦記念日を迎えますが、
「さとうきび畑」を聴くだけで意義があると思います。

色々な国で争いが絶えませんが、戦いは盤上だけにしてほしいものです。

     ◇  ◇  ◇  ◇

「さとうきび畑」  寺島尚彦作詞・作曲

1.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
今日も見渡すかぎりに
みどりの波がうねる
夏の陽ざしのなかで
2.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
昔海のむこうから
いくさがやってきた
夏の陽ざしのなかで
3.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
あの日鉄の雨にうたれ
父は死んでいった
夏の陽ざしのなかで
4.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
そして私の生まれた日に
いくさの終りがきた
夏の陽ざしのなかで
5.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
風の音にとぎれて消える
母の子守(こもり)の歌
夏の陽ざしのなかで
6.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
知らないはずの父の手に
だかれた夢を見た
夏の陽ざしのなかで
7.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
父の声をさがしながら
たどる畑の道
夏の陽ざしのなかで
8.
ざわわ ざわわ ざわわ
広いさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
お父さんて呼んでみたい
お父さんどこにいるの
このままみどりの波に
おぼれてしまいそう
夏の陽ざしのなかで
9.
ざわわ ざわわ ざわわ
けれどさとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ
風が通りぬけるだけ
今日も見渡すかぎりに
みどりの波がうねる
夏の陽ざしのなかで
10.
ざわわ ざわわ ざわわ
忘れられない悲しみが
ざわわ ざわわ ざわわ
波のように押しよせる
風よ悲しみの歌を
海に返してほしい
夏の陽ざしのなかで
11.
ざわわ ざわわ ざわわ
風に涙はかわいても
ざわわ ざわわ ざわわ
この悲しみは消えない



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