●○● 天声人碁 ●○●


2004年2月

◎2004/02/27 「農心杯/韓国が5連勝、日本の初優勝成らず」

 日中韓対抗の団体勝ち抜き戦の第5回農心杯世界囲碁最強戦の最終局は上海で打た
れ、日本の林海峰主将が韓国の主将李昌鎬に白番中押し負け。韓国は5連勝、日本の初
優勝は成らなかった。日本は先頭の張栩が2連勝、2番手小林光一が3連勝したが、李に
屈した。

              ----2004年2月24日 朝日新聞より抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

第5回 農心辛ラーメン杯 
世界囲碁最強戦対戦表
  勝者 敗者
第1戦 張   栩 日本 兪   斌 中国
第2戦 張   栩 日本 許 暎皓 韓国
第3戦 王   磊 中国 張   栩 日本
第4戦 王   磊 中国 洪 旻杓 韓国
第5戦 小林光一 日本 王   磊 中国
第6戦 小林光一 日本 朴 ヤ恩 韓国
第7戦 小林光一 日本 周 鶴洋 中国
第8戦 元 晟秦 韓国 小林光一 日本
第9戦 元 晟秦 韓国 胡 耀宇 中国
第10戦 元 晟秦 韓国 柳 時熏 日本
第11戦 古  力 中国 元 晟秦 韓国
第12戦 加藤正夫 日本 古  力 中国
第13戦 李 昌鎬 韓国 加藤正夫 日本
第14戦 李 昌鎬 韓国 林 海峯 日本


         ◇  ◇  ◇  ◇

前半戦では日本有利の状況でしたが最後に韓国の主将・李昌鎬九段に連敗し、優勝を
逃してしまいました。

それにしても李昌鎬九段は強いですね。この棋戦では9連勝だそうで、まさに「鉄のゴール
キーパー」といえるでしょう。
ここ一番の集中力・精神力が並外れて強いのでしょうね。

一方、日本勢では小林光一九段の3連勝が光りました。
日本選手は50代の小林九段・加藤九段、60代の林九段と韓国・中国選手にとって親子ほど
違う年齢でがんばっているんですね。これは十分、賞賛に値することだと思います。


◎2004/02/22 「棋聖戦 第4局 / 山下棋聖 初白星

 2/18〜19、広島県因島市で行われていた第28期棋聖戦七番勝負、山下敬吾棋聖
(25)と挑戦者、羽根直樹天元(27)の第4局は黒番の山下棋聖が半目勝ちし、今シ
リーズ1勝目を挙げた。3連敗スタートで後がない山下棋聖だったが、持ち前の手厚い
攻めで待望の勝利をものにした。第5局は25、26日、神奈川県箱根町で行われる。

 山下棋聖は中央の白の大石に迫り、じっくりと攻め上げた。白がしのぎに回る間に上
辺で得をし、優勢とした。これに対し羽根天元はじりじりと追い上げ、最後は両者残り1分
の秒読みの中、70手余りを打ち進める微細な寄せ合いとなったが、山下棋聖が逃げ
切った。

<山下棋聖の話>
「4連敗せずにほっとした。最後まで勝ちは見えなかった」

<羽根天元の話>
「中盤の折衝で失敗してしまった。寄せでは得をしたが、勝ちの局面はなかった」

          ----読売新聞/棋聖戦情報より抜粋----


         ◇  ◇  ◇  ◇

山下棋聖が半目勝ちで連敗を止めました。囲碁ファンとしては7番勝負が4番で終わっ
てしまうのはもったいないという気持ちがありますから、山下棋聖の奮闘にホッとした
人も多いと思います。

第5局はどんな展開になるでしょう。山下棋聖としては第4局の勢いを継続させたい
ところでしょうね。
一方、羽根天元としては連敗すると一気に流れが向こうにいきそうなので、第5局で
決めたいと思っているでしょう。
いずれにしても面白い碁を見せてほしいと思います。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は広島県因島市。本因坊秀策生誕の地です。「ヒカルの碁」でもでてき
ましたね。因島では囲碁を市技として、普及やイベントに力を入れているようです。
アマの碁打ちも多く、訪れた観光客の相手もしてくれるそうです。機会があれば是非とも
訪れてみたいところです。

囲碁のまちづくり推進協議会ホームページ


◎2004/02/17 「小中学生の囲碁団体戦」

今年から小中学生の団体戦が始まり、群馬県でも予選が4月の第1週に予定されています。
主催者側としては、参加者がどの程度集まるかが最大の関心事です。

「ヒカルの碁」も終わり、子供たちの囲碁への興味が持続しているかどうか、今度の大会で
ある程度予測がつくと思われます。

囲碁ファンの底辺拡大は子供たちがどれだけ、関心を持つかで決まるでしょう。
気まぐれな子供たちの興味を定着させるには、大人たちの粘り強い対応が必要です。

私自身は直接指導に関わっていませんが、先輩・知人の中には子供の囲碁普及に日夜汗を
流している人達がいます。
なかなか報われない活動ですが、少しでも応援したいと思っています。


◎2004/02/10 「棋聖戦第3局/羽根天元が3連勝で奪取に王手」
 2/4〜5、三重県桑名市で行われていた第28期棋聖戦7番勝負、山下敬吾棋聖(25)と
羽根直樹天元(27)の第3局は黒番の羽根天元が3目半勝ちし、今シリーズ3連勝と棋聖
奪取に王手をかけた。

 棋聖戦7番勝負史上、第1局から3連勝したケースは6回ある。挑戦者の3連勝は初めて。
5回は連勝者が勝利しているが、第7期では、藤沢秀行棋聖に挑戦した趙治勲名人が3連
敗から4連勝している。 第4局は18、19日、広島県因島市で行われる。

<羽根天元の話>
「序盤は悪かったが、コウの粘りで得をすれば何とかいけるのではないかと思った。また一局
ずつ頑張るだけです」

<山下棋聖の話>
「次の対局では開き直っていくしかありません」

              ----読売新聞/棋聖戦情報より抜粋----


         ◇  ◇  ◇  ◇

羽根天元の3連勝、これで俄然有利となりました。
一方の山下棋聖、精彩がないですね。昨年の今ごろは王立誠・前棋聖を相手に力強い戦い
ぶりを披露してくれたのですが・・・

この流れだと羽根天元4連勝の可能性も強いですね。
ただ、囲碁ファンとしてはこのまま終わってほしくありません。ここは一番、山下棋聖の意地
を見せてほしいところです。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は三重県桑名市。「その手は桑名の焼きハマグリ」というのがありますが、
地元産のハマグリはめっきり減ったそうです。

碁石に使うハマグリも以前は日向産が有名でしたが、今はメキシコ産がほとんどのようです。

桑名というと幕末の会津/桑名藩を思い浮かべます。
今年のNHK大河ドラマは「新選組」ですが、京都守護職・京都所司代を担った会津/桑名
藩がこれから出てくるでしょう。

今回の大河ドラマ、配役は香取慎吾以下、人気の若手が占めています。重厚感では?
と思いますが「若手の勢い」でカバーか・・・
脚本/三谷幸喜氏の今後の展開に期待しましょう。

----以下、桑名市ホームページ「地勢」より抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

 桑名市は三重県最北端の都市で、名古屋25キロ圏内にあり、揖斐・長良・木曽の三大河川
と伊勢湾に接し、鈴鹿連峰・養老山系を望む自然景観の優れたところに位置しています。

 地形的には、養老・鈴鹿山麓の裾野としてなだらかな平野部で、市街地は土砂の堆積によっ
て形成されたデルタ(三角州)地に形成されています。

 桑名は、古くから伊勢湾及び大河を利用する広域的な交通交易の拠点として発達しました。

 江戸時代に入ると、「七里の渡し」として知られる東海道五十三次の42番目の宿場町として、
また桑名11万石の城下町として、大いに栄えました。

 現在西部丘陵地には、大山田団地を含む大規模な宅地開発が進み、名古屋のベッドタウン
としての側面をあわせ持つ都市となっています。


◎2004/02/06 「2004県女流アマ囲碁大会」


今年も県女流アマ囲碁大会が先週ありました。今回で第17回となるそうですが参加者は
30名と停滞気味です。PR方法にも工夫が必要だったと思います。上位入賞者の顔ぶれ
もあまり変化なく、イマイチの盛り上がりです。

参加者の年齢層は40代後半以上が7割くらい、小中学生が2割、その他1割といった内訳
でしょうか。
高校生〜40代の参加者が1割程度というのが問題ですね。人生で一番活発となる年代が
ほとんどいないということは、「囲碁」がマイナーな文化ということでしょう。
(男性を含めても同じ傾向にありますが・・・)

囲碁をメジャーにするためには何が必要でしょう、難問ですね。


◎2004/02/03 「棋聖戦第2局/羽根天元、中押し勝ちで2勝目」

 1/28〜29、福岡市中央区で行われていた第二十八期棋聖戦七番勝負、山下敬吾棋聖
(25)と羽根直樹天元(27)の第二局は、羽根天元が中押し勝ちし、通算成績を二勝とした。

解説の小松英樹九段は「中盤白の打ちすぎで、中央が薄くなった局面では、黒にチャンス
があった。最後の羽根天元のしのぎは鮮やかでした」と話している。

<羽根天元の話>
「中央の白が薄くなったのは頑張りすぎでした。右上ももっと冷静に打つべきでした」

<山下棋聖の話>
「一日目で形勢が悪くなってしまった。これまで内容がひどいので立て直さないと」

              ----読売新聞/棋聖戦情報より抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

羽根天元、的確な打ち回しが冴え絶好調。一方の山下棋聖、石の運びに迷いがあるのでしょ
うか調子が出ません。
天元戦の前まで両者の成績は山下棋聖が一方的に勝っていたのに、今の流れは羽根天元の
方に傾いているようです。

勝負のアヤは不思議なものですね。でも結局、自分の信じる道を進むしかないんですよね。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は九州の福岡市。食べ物では博多ラーメンや明太子、野球の「ダイエーホークス」、
サッカーの「アビスパ福岡」など九州の文化・経済の中心地ですね。

ところでJRの駅名は「博多」ですがなんでだろう?

   ----以下、福岡市ホームページより抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

「博多と福岡」

 福岡市の陸の玄関口はJR博多駅で、観光客や転勤者の方々は、福岡市に「博多」と
「福岡」という二つの名前があることに戸惑われるかもしれません。

 「博多」という地名は、奈良時代の八世紀には登場しますが、「福岡」は、1600年の
関ケ原合戦の功により筑前国主となった黒田長政が、福崎(現在の赤坂付近)の地に新
しく城と城下町をつくり「福岡」と改めたことによります。それ以後、城下町「福岡」
と古くからの商人の町「博多」という双子都市になりました。

 福岡市が誕生した翌年の1890年に、福岡市会(当時の市議会)で市名を「博多市」に
変更する建議が出されましたが、議長裁定の1票差で否決されたことは有名なエピソー
ドです。


◎2004/02/02 「ペア囲碁選手権、小林・山下組が初優勝」

 若手最強コンビが激戦の末に2連覇ペアを下して初優勝――。

 男女ペアで競う「リコー杯プロ棋士ペア囲碁選手権2004」は1/25日、東京・恵比寿で
決勝戦が行われ、後手白番の小林泉美女流3冠(26)・山下敬吾棋聖(25)組が266手で
祷陽子五段(29)・趙治勲25世本因坊(47)組に中押し勝ちし、初優勝した。

 小林女流3冠にとっては小林光一九段との父娘ペアで第2回大会を制して以来8年ぶり
2度目の栄冠。大会史上初の3連覇がかかっていた祷・趙ペアだが、あと一歩のところで
惜しくも偉業を逃した。

 通常の囲碁は1対1で勝負を争う個人競技だが、ペア囲碁は男女ペアが2対2で戦う日
本生まれの新競技。対戦相手の手を読むだけでなく、パートナーの意図も感じ取らなけれ
ばならない妙味が受け、国内外で愛好者が着実に増えているという。

              ----2004年1月25日 NIKKEI NETより抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

このところ連敗の山下棋聖、ペア戦での優勝よかったですね。パートナーの小林泉美女流
3冠の力も大きかったのでしょうか。これで棋聖戦に弾みがつけばいいのですが・・・
それにしても山下棋聖は忙しそうですね。あちこちと大奮闘、がんばってください。

ペア戦の愛好者が増えているそうですが、私の身近なところでは難しそうです。まず女性の
囲碁愛好者がいません。といって男同士ではどうもねえ・・・

「ヒカ碁」世代が順調に伸びればこういった企画も当たるでしょうが、囲碁の底辺拡大の面で
はまだまだ不透明な要素が多いようです。


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