●○● 天声人碁 ●○●


2004年3月

◎2004/03/31 「十段戦第二局、張が雪辱 タイに」

 「第42期十段位決定五番勝負」第二局は3/26日沖縄県名護市で行われ、張栩本因坊・
王座が王立誠十段に白番1目半勝ちし、1勝1敗のタイとした。第三局は4月8日、
長野県大町市で行われる。

 勝った張は「ひどい碁、どう打ってもダメでした」と苦笑い。敗れた王は「抜いた手
(黒181)がひどかった」と唇をかんでいた。

                             (産経囲碁Webより抜粋)


         ◇  ◇  ◇  ◇

中盤までは王立誠十段の方が優勢のようでしたが終盤にミスが出て、張栩本因坊・王座
が粘り勝ちのようでした。

張栩本因坊・王座は本局のように劣勢な碁をひっくり返すケースが多いですね。苦しく
てもジッと我慢して勝機を待つ、あの忍耐力は子供のときからの訓練でしょうか。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は沖縄県名護市。第1局は雪の新潟、そこから一転して春たけなわの沖縄
へ、タイトル戦も大変ですね。

環境の変化に順応する能力も、棋士にとっては重要な要素のようです。
先の棋聖戦七番勝負、山下前棋聖は新婚ということもあり、環境変化の面で羽根新棋聖の
方が有利だったかも・・・


◎2004/03/24 「十段戦、王立誠十段が先勝」

王立誠十段に張栩本因坊・王座が挑戦する「第42期十段位決定五番勝負」第1局は
3/11日、新潟県岩室村の岩室温泉で行われ、白番の王が9目半勝ちし、初戦を飾った。

                                (産経囲碁Webより抜粋)


         ◇  ◇  ◇  ◇

絶好調の張栩本因坊・王座が挑戦者ということで、王立誠十段の苦戦が予想されまし
たが第1局は王十段が乱戦を制したようです。

王十段、世代でいえば中堅からベテランの域に入りますが、まだまだ若手には簡単に
負けられないという意地でしょうか。第2局以降もがんばってほしいと思います。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は新潟県・佐渡弥彦米山国定公園の岩室温泉。昨年の十段戦第1局も
同じところでした。

ちょうど棋聖戦の第6局が同じ日(3/10〜11)、同じ新潟県の六日町で行われていました。
3月とはいえまだ寒い新潟県、雪見の対局もいいですが暖かい地方の方がいいと
思いますが・・・

我が家も子供が小さい頃は新潟の海に海水浴に行ったものでした。寺泊、石地、鯨波など。
真夏の太陽、白い雲、青い空と海、子供たちの歓声、なつかしいですね。



◎2004/03/22 「棋聖戦 第7局 / 羽根天元、初の棋聖位獲得」


 囲碁界の最高タイトル戦、第28期棋聖戦七番勝負、山下敬吾棋聖(25)と挑戦者・
羽根直樹天元(27)の第7局は3/17〜18、静岡県土肥町で行われ、先番の羽根天元が
中押し勝ちし、通算成績4勝3敗で棋聖位を奪取した。

 棋聖戦史上初の20代対決として注目された今シリーズは、羽根天元の3連勝後、山下
棋聖が3連勝して追い上げるというまれにみる大激戦となったが、最終局で羽根天元がか
ろうじて逃げ切り、初めて名古屋に3大タイトルの一角を持ち帰った。

<羽根新棋聖の話>
「初戦から3連勝して結果を意識し、碁がおかしくなってしまった。最終局は開き直り、
いつも通りの碁が打てました。(棋聖となった)実感はまだありません」

<山下棋聖の話>
「シリーズの初めは全く碁にならず、見せ場をつくれないまま終わるのかと思いました。
最終局まで来れて、ファンの方も楽しんでくれたのではないでしょうか」

          ----読売新聞/棋聖戦情報より抜粋----


         ◇  ◇  ◇  ◇

大激戦となった棋聖戦、羽根天元が3連勝3連敗後、最終局を勝ちきって棋聖位を獲得
しました。羽根新棋聖はこれで天元と合わせて二冠となり、囲碁界の第一人者ですね。

敗れた山下前棋聖、無冠となりましたがこの七番勝負で見せた豪腕は今後も囲碁界を
にぎわせてくれると思います。

これで日本囲碁界の7大タイトルは羽根直樹(棋聖・天元)、依田紀基(名人・碁聖)、
張栩(本因坊・王座)、王立誠(十段)の4人が分け合う形となりました。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は静岡県土肥町。平成16年4月1日より修善寺町・天城湯ヶ島町・中伊豆町、
土肥町が合併して「伊豆市」となるそうです。

幕末から明治にかけて活躍し囲碁四哲の1人とも称された第14世本因坊・秀和は土肥町の
出身。最福寺資料館には秀和の使用した碁盤、第23世本因坊坂田栄男の筆による顕彰碑
などがあるそうです。

         ◇  ◇  ◇  ◇

◆第14世本因坊・秀和(1820-1873)
 幼名は土屋俊平と言い、彼は幼少の頃より囲碁に秀で、9才で第12世本因坊丈和に見込
まれて門人になり、20才で七段に進み本因坊一門で最高の実力者となった。
 井上因碩幻庵が名人就位をかけた対局で三度とも幻庵を退けた壮絶な勝負は棋史に残る
名勝負と言われている。



◎2004/03/16 「棋聖戦 第6局 / 山下棋聖が3連勝でタイに」

 3/10〜11、新潟県六日町で行われていた第28期棋聖戦七番勝負第6局は、山下棋聖
が黒番中押し勝ちし、3連敗後の3連勝で対戦成績を3勝3敗のタイに持ち込んだ。
最終第7局は17、18の両日、静岡県土肥町で行われる。

<山下棋聖の話>
「右辺の攻め合いに錯覚があり、碁をダメにしたかなと思った。勝てたのは運が良かった。
最終局まで来ることができてうれしい」

<羽根天元の話>
「初めの振り替わりは白が悪いと思っていた。一時は勝負になったかと思ったが、左下の
簡単な死活を見損じてしまった。次も今まで通り一局一局という気持ちでやりたい」

          ----読売新聞/棋聖戦情報より抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

第6局は大きなな振り替わりの連続で山下棋聖が3勝3敗に戻しました。羽根天元、死活の
見損じがあったようで残念でしたね。

これで山下棋聖の方に流れが傾いてきましたが、最終局はどうでしょうか。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は新潟県南魚沼郡六日町。私が二十代前半の頃、巻機山(まきはたやま・
1967m)に登ったことがあります。

塩沢からバスで清水へ、そこで一泊して沢沿いの急な岩場を必死の思いで登り、なだらかな
山頂に立った時はヘトヘトだったように思います。

----以下、六日町ホームページより抜粋----

         ◇  ◇  ◇  ◇

■ 六日町の沿革

六日町は古く上田庄と呼ばれ、南北朝動乱期に長尾氏が本拠を構え、魚野川流域の
中心地として開け、江戸時代には三国街道・清水街道の宿場町として栄えました。
町の中央を流れる魚野川は下流域の各宿場町と結ばれ、舟運でも繁栄しました。

上越新幹線、関越自動車道と高速交通網が整備され、平成9年春には北陸圏
との間に「ほくほく線」が開通、また上越圏との間を結ぶ高規格道路が着工されるな
ど交通の要衝として発展が期待されています。

■ 位置・面積

六日町は新潟県の南部に位置し、総面積の77%が山林地帯です。
周辺には、十日町市、塩沢町、大和町があり南西部で群馬県に接しています。
東京までは約213km、新潟県の関東への玄関口となっています。

■ 地勢・気候

東に八海山、駒ケ岳、中之岳と連なる越後三山、三国山脈。西には魚沼丘陵を望み、
町の中央を南北に流れる魚野川とその支流、三国川、宇田沢川が緑豊かな盆地を形成し
ています。年間平均気温は、11.4度、県内でも有数の積雪地帯。残雪のため、
春は遅く、冬は早く訪れますが、美しい自然と四季折々の風物に恵まれています。


◎2004/03/13 「万波二段が初タイトル、新女流棋聖に


 知念かおり女流棋聖(29)に万波佳奈二段(20)が挑戦していた囲碁の第7期女流
棋聖戦三番勝負は、第3局で万波二段が黒番12目半勝ちし、通算2勝1敗で、2/25
日付で新女流棋聖になった。

 万波二段は02年4月から、NHK杯囲碁トーナメントの司会をしている人気者。タイ
トル初挑戦で女流棋聖4連覇の実力者・知念さんを破った。第3局は6日にあり、25
日夜にケーブルテレビなどで放送された。

            ----2004/02/26、朝日新聞より抜粋----


         ◇  ◇  ◇  ◇

女流最強位の鈴木歩(あゆみ)三段(20)に続き、万波二段が初タイトル、女流囲碁界も
若手が進出し、活気があります。

万波二段、色紙に「向日葵(ひまわり)」と書くそうです。なんとなく雰囲気が感じられま
すね。

女流プロの場合、実力とともに容姿・センス・人柄などもセールスポイントなります。
棋院の広告塔のような立場にもあるわけで、男性棋士より苦労が多いのかもしれません。

指導碁を打ってもらうとしたら、いかつい男性棋士よりやさしい女流プロの方を選ぶでしょ
うね。


◎2004/03/05 「棋聖戦 第5局 / 山下棋聖が2連勝

 2/25〜26、神奈川県箱根町で行われていた第28期棋聖戦七番勝負、山下
敬吾棋聖(25)と挑戦者、羽根直樹天元(27)の第5局は白番の山下棋聖が
中押し勝ちし、今シリーズ2勝3敗とした。第6局は3月10、11日、新潟県六日
町の「龍言」で行われる。

 中央の黒の大石を攻めた山下棋聖は、攻めの効果として左上から左辺にかけ
て大地を築いた。羽根天元も右下に模様を張ったが、このままでは地合が足りな
いとみて、「決死の勝負手」(解説の依田紀基名人)を放った。黒は左上隅で生き
たものの、この間に白も右下の黒模様になだれ込み、地合の差は縮まらなかった。
羽根天元の3連勝スタートとなった今シリーズは、山下棋聖の連勝でいよいよ白熱
してきた。

<山下棋聖の話>
「2連勝でもまだ負け越しており、頑張るしかない」

<羽根天元の話>
「初日からまったくだめだった。第6局も全力を尽くすだけ」

          ----読売新聞/棋聖戦情報より抜粋----


         ◇  ◇  ◇  ◇

第5局は山下棋聖らしい力強い打ち回しで、完勝のようでした。第4局、第5局と
山下棋聖が連勝で勢いを吹き返してきた様相です。
第6局の結果いかんでは山下棋聖の3連敗4連勝の大逆転の可能性もでてきま
した。

個人的な見解ですが第5局前の時点で羽根天元の棋聖奪取の可能性は80%く
らいと思っていましたが、現時点では65%くらいと思います。
もし、第6局を落とし3勝3敗のタイとなったら逆に山下棋聖の方が60%以上有利の
ような気がします。

3月10、11日の第6局の行方が楽しみです。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は神奈川県箱根町。私が二十歳の頃、一人で東京の多摩地区から
自転車で箱根の山を越え、愛知県まで行ったことがあります。

箱根の登りは3分の2くらい自転車を引っ張って歩きました。苦しかったですね。
峠の頂に着いた頃は夕方、そこから三島の宿までは夜間を急な下りを走る、ブレーキ
が壊れるのではと心配でした。また、大型トラックが疾走しているので接触しないよう
端を走るのにも神経をつかいました。

2日目、愛知の目的地に着いたときは股ズレでお尻がヒリヒリ、青春のホロ苦い思い
出です。


◎2004/03/01 「親善碁会(団体戦)

先日、私の所属する企業の囲碁部と県内の化学企業の囲碁部で親善碁会を行い
ました。

わがクラブのホームページを見て、試合を申し入れたとのことです。
事業所の規模は同じくらいですが囲碁部の活動はほとんど休止状態で、交流試合
で弾みをつけたいとのことでした。

双方、10名づつの団体戦で一人3局対戦(ハンディ戦)し、成績を競う大会です。
初対戦の場合ハンディ(段級位)の設定が大きく影響します。相手チームの段級位
は全体的に1ランクくらい上のようでしたので、互角の勝負はできると予想していま
した。

ところが結果は9勝21敗と大きく負け越してしまいました。近くに結構強い打ち手が
いるものですね。

わが部の反省としてここ十年近く、ほとんど棋力がアップしていないことです。
(上位の2〜3名はそれなりに向上心をもって、囲碁に取り組んでいるが・・・)
内部の対局で勝った負けたと一喜一憂しているのではダメですね。

ではどうすればよいか、これが問題ですね。
研究会のようなものを行えばいいのですが、あまり参加してくれそうもありません。
なにか効果的な「次の一手」があればいいのですが・・・・


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