●○● 天声人碁 ●○●


2004年5月

◎2004/05/29 「本因坊戦第2局、張栩本因坊が2連勝」

 5/24から福岡市博多区で行われた第59期本因坊決定戦七番勝負の第2局は張栩本因
坊(24)が挑戦者の依田紀基名人(38)に先番中押し勝ちして2連勝を飾った。
第3局は5月31日、6月1日の両日、三重県鳥羽市で行われる。

 張が黒159手を打った瞬間、控室に驚きの声が上がった。この一手で中央の白の大石
が死んでしまった。依田もすぐに事態に気づき、アゲハマを盤上に置いて投了の意思を示
した。まだ日が高いうちの決着。最後は張が見事に大石を仕留め、初防衛に向け大きな連
勝となった。

 苦しそうな局面が続いたが、張ははっきりしたリードを与えず、最後は思い切った踏み
込みで勝負を決めた。依田は第1局に続き惜しまれる敗戦となったが、第3局で巻き返し
を目指す。

<張本因坊の話>
 序盤で左下の黒を攻められ、苦しいと思った。最後の攻めも仕方がないと思ったが、読
み切れていたわけではなかった。

<依田名人の話>
 最後のホウリコミ(黒159)は気づいていなかった。中央の白石はそんなに危ないとは
思わなかったけれど……。

                 (毎日新聞 5月25日より抜粋)


         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の本因坊戦、今のところ流れは張本因坊の方に傾いているようです。依田名人、2連
敗と苦難のスタートとなりましたが、巻き返しを期待したいですね。

タイトル戦までの成績は張本因坊の5勝1敗と片寄っていますが、ニガ手意識があるので
しょうか・・・

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は福岡市博多区。囲碁のタイトル戦は九州での対局が結構多いように思い
ます。囲碁ファンも多いのでしょうね。

九州男児というと血気盛んで熱いという印象です。
私が小学生の頃、野球では福岡の「西鉄ライオンズ」が活躍していました。「鉄腕投手・稲尾」
といえば日本で知らない人はいないほどのヒーローでした。

日本シリーズで西鉄が3連敗のあと4連勝と大逆転した時、「神様、仏様、稲尾様」という活字
が紙面をにぎわしたのを記憶しています。あの時の西鉄ファンも熱かったですね。


◎2004/05/25 「2004/県高校囲碁選手権」

今年の県高校囲碁選手権は参加校(18校)、参加者(104名)と過去最高数のようでした。
(昨年は17校、85名)

過去の記録を見ますと7〜8年前は4校21名というレベルでしたので、役員の方たちも寂し
かったでしょうね。
それを思うと隔世の感があります。これも「ヒカルの碁」のおかげですね。

今年の特徴は昨年の少年少女囲碁大会(小中学生)で活躍した人が今大会で上位を占め
るようになりました。「ヒカ碁」世代の中心が中学生〜高校生ということでしょうか。

ただ、この活況がいつまで続くか、これが問題ですね。
日本における「囲碁のステータス」を底上げすることが課題と思いますが、この一手というの
がムズです。


◎2004/05/12 「本因坊戦第1局、張栩本因坊が先勝」

 5/7から札幌市で行われた第59期本因坊決定戦七番勝負の第1局は張栩(ちょうう)
本因坊(24)が挑戦者の依田紀基名人(38)に白番半目勝ち、初防衛に向け先勝した。
第2局は24、25日、福岡市で行われる。

<張本因坊の話>
 厳しい碁だった。負けるかな、とちょっと思いながら打っていたが、最後の最後に半目勝
ちが分かった。

<依田名人の話>
 1日目の進行では、いい勝負と思っていた。途中、こちらがいいと思った時もあったが、安
易に打ちすぎたか。

                 (毎日新聞 5月8日より抜粋)

         ◇  ◇  ◇  ◇

新緑の季節になると「本因坊戦七番勝負」が始まります。
昨年は新鋭の張栩現本因坊がベテランの加藤正夫九段(前本因坊)を破って本因坊位に
就き、世代交代が加速しました。

今年は依田名人・碁聖が挑戦者に名乗りをあげ、「名人」対「本因坊」の頂上対決となりま
した。

張栩本因坊、先の十段戦では王立誠十段に返り討ちにあいましたが、羽根、山下に並び
若手トップグループの逸材といえます。

一方の依田名人、本因坊戦リーグでは1勝2敗から4連勝で三村九段と並び、プレーオフを
制して挑戦権を獲得、満を持しての登場です。

結果は張栩本因坊の半目勝ちのようでしたが、2局目以降も熱戦を期待しています。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は北海道札幌市、挑戦者の依田名人も北海道(岩見沢市)でした。衛星放送
で対局二日目の昼食休憩に岩見沢の子供たちが見学にきているところを映していました。

今回は金曜・土曜の対局でしたので見学が可能だったのですね。対局を休日に行えば、学生
や会社員も解説会などに出られますので、主催者は検討してほしいと思います。

         ◇  ◇  ◇  ◇

私は今年3月中旬に「北海道格安ツアー」というので道南方面(函館・小樽・札幌等)に行って
きました。
関東ではそろそろ桜が咲くという時期でしたが、北海道は雪まじりの日が多く、函館山からの
夜景は吹雪、札幌・大通り公園にもかなり雪が残っていました。


◎2004/05/10 「秀吉と家康対局の碁盤盗難」

 4/29日午前3時ごろ、京都市北区紫野大徳寺町の大徳寺塔頭(たっちゅう)龍源院
の住職(43)から「火縄銃など展示品が盗まれた」と110番があった。
 上鴨署員が駆けつけると、書院のガラスケースの錠が切断されるなどして開けられ、
碁盤1面、碁筒2個、火縄銃2丁などの展示品がなくなっていた。同署は盗難事件とみ
て調べている。

 盗まれた碁盤は側面に金粉で四季が描かれ、豊臣秀吉と徳川家康が対局したと伝え
られている。いずれも重要文化財などの指定は受けていないという。

 大徳寺は臨済宗大徳寺派の大本山で、千利休ら茶人が禅に帰依したことで知られる。

                        [2004年4月29日/共同]

         ◇  ◇  ◇  ◇

大変残念な事件ですね。無事に碁盤が戻ればいいのですが・・・
豊臣秀吉と徳川家康の対局、面白そうですね。

秀吉の棋風を想像すると、相手を驚かすような手段が得意そうです。
現代では王銘エン九段でしょうか。

一方、家康はあまり冒険はせず堅実な棋風で、現代棋士では小林光一九段でしょうか。

でも性格と棋風は一致しないケースも多いようですね・・・


◎2004/05/01 「日本勢の国際戦不調」

国際戦における日本勢の成績は相変わらず不調のようです。

●CSK杯アジア対抗戦(日本主催の日中韓台の囲碁団体戦)
 優勝:中国、2位:韓国、3位:台湾、4位:日本

●応氏杯世界プロ選手権戦(台湾主催、現在ベスト4まで進行)
 ベスト4は韓国:2名、中国:2名(日本勢はベスト8で1名

●世界囲碁選手権・富士通杯(日本主催、現在ベスト8まで進行)
 ベスト8は韓国:5名、日本:2名(依田紀基、張栩)、台湾:1名、中国:ゼロ

日本勢の不甲斐なさについて、日本棋院やプロ棋士に対し厳しい批判の声が高まって
います。

・日本のプロ団体はぬるま湯につかっているのではないか
・棋士は勉強が足りないじゃないか
・新聞社などのスポンサーが甘やかしているんじゃないか、等々

私の意見としては結局、日本の社会、国民が囲碁に対して関心が低いとということだと
思います。
韓国、中国に比べ日本は囲碁よりも他の分野にエネルギーが費やされているのでしょう。

         ◇  ◇  ◇  ◇

最近思うのは、時間の流れが速くなっているように感じます。これは囲碁のようなゲーム
では不利かもしれません。

もう少し時間がゆったりと流れていいように思いますが・・・


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