●○● 天声人碁 ●○●


2004年9月

◎2004/09/30 「名人戦第2局 、張本因坊が勝ち 1勝1敗のタイに」

  9/22日〜23日、福岡市中央区で打たれていた囲碁名人戦七番勝負の第2局は、黒番の挑戦者、
張栩(ちょう・う)本因坊(24)が依田紀基名人(38)に3目半勝ちし、通算1勝1敗とした。
第3局は29、30の両日、名古屋市で。

 形勢判断が終始難しい展開。張本因坊が堅実かつ冷静な打ち回しで最後に勝利を引き寄せた。
 解説の小松英樹九段は「中央白地の勘定が難しく、下辺黒は最後までコウ含み。終始判断が難しく、
敗着もまだ分からない。名人の捨て石作戦、本因坊の下辺黒の決断といい、第一人者同士の好局」と
話した。

<依田名人の話>
 捨て石はやりすぎだったかな。下辺も難しかった。

<張本因坊の話>
 小ヨセで得してやっと勝ちが見えた。下辺の戦いは難解で自信はなかった。

                   (2004/09/24 朝日新聞より抜粋)

         ◇  ◇  ◇  ◇

張栩本因坊の実利、依田名人の厚みという展開でしたが、最後は張本因坊が逃げ切ったようです。
これで両者互いに黒番を入れて1勝1敗となりました。

探求派の依田名人、実戦派の張本因坊、第三局以降の戦い振りが楽しみです。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局は福岡市の福岡ドームに隣接したホテル。福岡ドームといえば「ダイエーホークス」
ですね。今年も好調でパリーグ優勝に一番近いチームでしょう。
ただ親会社の業績は不振でチームとしても不安な面もあると思います。

囲碁の日本棋院、関西棋院も財政的には厳しいようです。
棋士(選手)の活躍と棋院(親会社)の運営、両方がベストな状態で維持できれば問題ないのですが、
不調になったときの対処が難問ですね。

たかが囲碁(野球)とはいえ、日本人の活力の一部のように思います。
健全な運営ができるよう関係者の結束が必要でしょう。


◎2004/09/22 「酔碁」


9月下旬になっても暑い毎日が続きます。東京での真夏日は年間最多記録を更新したそうです。

こう暑いとビールでも一杯という気分になりますが、飲んだ後の対局(ネット碁)はダメですね。
一本調子の度胸較べのような碁になってしまい、勝率は1〜2割くらいでしょう。

囲碁合宿などでは宴会のあと延々と深夜まで対局していますが、相手も飲んでいるので互角とでしょ
うか。ただ、アルコールに対しての強弱、酒量等によりますので条件は対等ともいえません。

私などはアルコールにも弱いので宴会後の成績は残念ながら5割を切っていると思います。
逆にアルコールが入ると実力以上の力を出す人もいます。迷いがなくなり自分本来の棋風で打てるか
らでしょうか。

世の中、お酒を飲む機会は多々ありますが、囲碁と同様にコミュニケーションの手段としては有効な一手
かと思います。でも「過ぎたるはなお及ばざるが如し」・・・・



◎2004/09/16 「名人戦第1局 、依田名人が張本因坊に半目勝ち」


 9/9日〜10日、大阪市北区で打たれていた第29期囲碁名人戦七番勝負の第1局は、黒番の
依田紀基名人(38)が挑戦者の張栩(ちょう・う)本因坊(24)に半目勝ちした。
第2局は22、23の両日、福岡市で。

 両者とも秒読みに追われる白熱した終盤戦だった。名人は冷静な打ち回しで、粘る挑戦者に競
り勝った。 挑戦者はがっくりとうなだれ、勝った名人にも笑みはなかった。2人は疲れ切った表情で、
局後の感想戦もなかった。

 解説の山田規三生八段は「中盤まで形勢がやや悪かった名人が我慢を続け、勝ちを引き寄せた。
挑戦者が中央を大きく囲おうとしたが少し無理だったのではないか。両者どうしても勝ちたい名人戦
の第1局らしい、気合の入った大熱戦でした」と話した。

<依田名人の話>
 序盤、左上で石がダブって全然ダメだった。勝ちが見えたのは最後の最後です。

<張本因坊の話>
 打ちかけまで形勢は悪くなく、勝ちの局面はあったと思うが、ヨセで間違えた。

                   (2004/09/10 朝日新聞より抜粋)

         ◇  ◇  ◇  ◇

依田名人が我慢で半目勝負を勝ちきったようですね。先の本因坊戦も同じ対戦者で、ニ回あった
半目勝負を張栩本因坊が二回とも勝って本因坊防衛しました。

依田名人は半目勝負が多く、半目負けも一番多かったと思います。戦略は大胆な一面もあります
が、勝負には手堅いということでしょうか。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局は大阪市。最近は名古屋を中心とした中京圏が経済などで注目され、阪神圏は押され
気味のようです。
プロ野球も中日ドラゴンズが優勝の可能性が高くなっており、うれしいですね。

今回の名人戦シリーズの対局場所は以下のようになっています。

第1局  9月 9、10日 ザ・リッツ・カールトン大阪(大阪市)
第2局  9月22、23日 シーホークホテル&リゾート(福岡市)  
第3局  9月29、30日 名古屋マリオットアソシアホテル(名古屋市)  
第4局 10月13、14日 札幌グランドホテル(札幌市)  
第5局 10月21、22日 鬼の栖(静岡県伊豆市)  
第6局 11月 3、 4日 わかつき別邸(静岡県伊東市)  
第7局 11月11、12日 あたみ石亭(静岡県熱海市)  


1〜4局までは横文字の洋風ホテルで後半の5〜7局は和風旅館のようです。

前半戦は前夜祭、大盤解説会などを意識して広いホテルでということだと思います。
一方、後半戦は静かな場所でじっくり腰をおちつかせて、名勝負ということでしょうか。

いずれにしても楽しみな名人戦シリーズです。



◎2004/09/10 「名人戦七番勝負始まる」


毎年9月になると、名人戦の季節がやってきたと感じます。依田名人に挑戦するのは張栩
本因坊、どんな戦いになるか楽しみです。

日本の三大棋戦(棋聖戦・名人戦・本因坊戦)は持ち時間が8時間で二日制の七番勝負です。
一方、国際棋戦の持ち時間は3時間がほとんどで日本勢は韓国・中国に圧倒されています。

日本の苦戦に対し国内棋戦も3時間とし、同じ条件で対局すべきという案もありますが、私は「8
時間・二日制の七番勝負」を残してほしいと思います。

         ◇  ◇  ◇  ◇

日本では囲碁を単なるゲームではなく、文化としての見方があります。国際棋戦の流れだからと、
安易に短時間制にするのはどうかと思います。

日本の伝統・文化・美意識・日本人の心など、これからも「和の心」を大切にしてほしいものです。

◎2004/09/03 「囲碁との付き合い」


現在、日本棋院では創立80周年ということで各種イベントを計画・実施しています。

その一つとして記念事業の募金があり、私も少ない小遣いの中から協力することにしました。

囲碁とは長年の付き合いで、出費の方も「囲碁雑誌/書籍」、「各種囲碁大会」、「ネット対局」
などかさみましたが、相応のものは得られたと思っています。

何が得られたかと言われると答に詰まってしまいますが、生涯の友を得たという気持ちです。
「囲碁」という友は色々な面を持っています。

         ◇  ◇  ◇  ◇

●勝負という面では勝った時の喜び、負けた時の悔しさ

●勉強・研究という面では、継続することの難しさと棋力向上の喜び

●観戦では好きな棋士の勝負に一喜一憂したり、国際戦不調を嘆いたり

●囲碁人との付き合いでは、高潔な先輩や気鋭の若手との交流

●グループや団体の運営では多くの労力とささやかな満足感

等々、色々な喜怒哀楽があり、色々な人がそれぞれの付き合い方をしていると思います。


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