●○● 天声人碁 ●○●


2006年3月


2006-03-31 「山下敬吾の初段の実戦詰碁」

2ヶ月ほど前「山下敬吾の初段の実戦詰碁」という本を買い、ときどき眺めています。
「初段」と名前がついていますが、正解は半分くらいでしょうか。「読む」訓練と割り
切って、解答にはこだわらず問題を見ています。

この種の本では「1分で二段、3分で1級」とかいうレベルが書いてあります。
時間は棋力に関係ないと思ったりするのですが、これがいけないのかもしれません。

1分考えて分からなかったら3分考える、この粘りが必要なんでしょうね。


    ◇   ◇   ◇

先日、ある棋士から「詰碁に著作権はありません」と聞きました。
特許で何百億を得たというニュースを聞きますが、それにくらべて詰碁の世界は開放的で
いいですね。



2006-03-29 「人はなぜ碁を打つか」

「人はなぜ働くか」−。この問いに対しある本の著者はこう書いていました。

(1)「能力を伸ばすこと」。これまでできなかったことが、できるようになることは人間にとって
  根源的な喜びである。
(2)「働きがいのある仕事」。仕事の能力を伸ばしていくと仕事の幅が広がり、周りの人から
  賛同されるようになる。「仕事の報酬は仕事である」。
(3)「人間としての成長」。仕事を通じての色々な出来事から、人は成長する。

これを碁に置き換えて、「人はなぜ碁を打つか」−。
(1)「棋力を向上させること」。今まで見えなかった碁の広さ、深さが見えてくる。これは根源
  的な喜びである。
(2)「対局しがいのある碁」。棋力を向上させると囲碁の世界が広がり、存在を認識してもら
  える。
(3)「人間としての成長」。碁を通じての色々な出来事から、人は成長する。

いささか、こじつけの感もありますがが「なるほど」と思う点もあるでしょう。
「なぜ碁を打つか」、人それぞれの考え方があるでしょうが「自分にとっての答え」を見つけて
いくことだと思います。



2006-03-27 「女流アマ選手権/祷さんが初優勝」

 第48回全日本女流アマ囲碁選手権大会は先週、日本棋院で128選手が参加して開かれ、
決勝戦で祷(いのり)真理子さん(関東)が品田渓さん(同)に黒番中押し勝ちし、初優勝。
祷さんは祷陽子五段の姉。3位は小田彩子さん(同)、4位は林むつみさん(同)。

        (朝日囲碁Webより抜粋)

     ◇   ◇   ◇

ここ数年は優勝連覇は少なくなり、誰が優勝するか予想できない混戦模様です。
今年は祷(いのり)さんが初優勝、おめでとうございます。
祷さんは祷陽子五段のお姉さんさんだそうです。そういえば祷五段は最近、結婚されたんで
すよね。重ねておめでとうございます。

今回のベスト8の半数は院生経験者だそうで、女流プロをめざす方も多いようです。参加者
の構成もベテランから小学生までと、数年前にくらべ大きく変化しています。

     ◇   ◇   ◇

風鈴会のインストラクター、榊原さんは7位入賞で先日の定例会でも会員の祝福を受けてい
ました。順位戦のさわりを高段の方が解説していましたが、外見どおり自由奔放なダイナミッ
クな碁で感心しました。

群馬県代表の2選手は惜しくも初戦で敗退。全国の壁は厚いようです。



2006-03-25 「石のさばき方(風鈴会)」

今日(3/25)は定例の「風鈴会」の日、テーマは「石のさばき方」の解説でした。
ポイントは「軽くさばく」ということでしたが、実戦ではこれがなかなか思うようにいきません。

人間関係でも複雑な局面がありますが、「軽くさばく」というのは参考になりますね。

今日は鈴木プロの指導碁を受けることができました。
5子で勝たせてもらいましたが、「筋がよい、自信持って打ってください」とのこと。
お世辞かもしれませんが、未来が開けてきた心境です。



2006-03-23 「春蘭杯世界選手権/日本選手5名敗退」

中国主催の国際棋戦・春蘭杯、日本選手5名は健闘及ばず2回戦で姿を消し、ベスト8は
中国6名、韓国2名が勝ち残った。

■1回戦(3/11):日本棋士4勝0敗
・趙 治勲九段(日) ○ 兪斌九段(中)
・河野 臨八段(日) ○ 林聖賢七段(台)
・依田紀基九段(日) ○ 孔傑七段(中)
・結城 聡九段(日) ○ 周俊勲九段(台)

■2回戦(3/13):日本棋士0勝5敗
・羽根直樹九段(日) ● 謝赫六段(中)
・趙 治勲九段(日) ● 周鶴洋九段(中)
・依田紀基九段(日) ● 胡耀宇八段(中)
・結城 聡九段(日) ● 常昊九段(中)
・河野 臨八段(日) ● 古力七段(中)

先日の「農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」では日本チームが優勝しましたが、この春蘭杯
ではベスト8にも進出できませんでした。残念ですね。
次の国際棋戦では是非がんばってほしいものです。

         ◇   ◇   ◇

先日(3/21)のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝は日本がキューバを破り
初代の王者になりました。よかったですね。
実況中継は見られなかったですが、視聴率は43.4%(関東地区)、瞬間最高視聴率56.0%
(同)だったそうで、関心の高さに驚きます。

本命、米国の不振はどうしたのでしょう。
囲碁も日本が世界に君臨していた頃は今の米国に似ていたような気がします。
追いつくにはまだまだ先だと思っていた時には、抜かれていた。勢いとはそうしたものでしょ
うね。



2006-03-20 「NHK杯/羽根直樹九段が初優勝」

昨日(3/19)放送された「第53期NHK杯囲碁トーナメント」の決勝は中部総本部の羽根直樹
九段が関西棋院の今村俊也九段をを黒番で中押し勝ちし初優勝を飾りました。
内容的には終盤までヤミ試合の様相でしたが、今村九段に失着があり羽根九段の優勝となり
ました。

棋聖位を奪われて間もない羽根九段としては、タイトルを保持できホッとしていることでしょう。
一方の今村九段、6年ぶりの決勝進出でしたが今一歩のところで涙をのみました。

「中部」対「関西」の対決となった本棋戦、中部に凱歌があがりましたが関西の健闘も讃えら
れます。

NHK杯が中部の手に渡ったのは第1期の島村利博八段(当時)以来、52年振りだそうです。
この時の相手は高川格七段(当時)でまだTV放送はなくラジオの時代だと思います。
しかし読み上げだけでは内容は分からないでしょうから、ラジオを聞いている人は実際に盤に
石を置いて観戦したのでしょうね。



2006-03-18 「町内春季囲碁大会」

今日(3/18)、T町内の囲碁大会があり参加してきました。1月に行われた新春大会に続い
ての開催で、参加者も24名と少し増えたようです。
私は3勝1敗で準優勝と好調の一日でした。

参加者の年齢は私より上の人が多く、平均では60歳代後半ではないでしょうか。その分、
あまり勝敗にこだわらず囲碁を楽しむという雰囲気が伝わってきます。

まだ知っている人は少ないのですがこの地に住んで26年ほど、地域の人たちと交流を深め
ていこうと思っています。



2006-03-16 「卒業式の季節」

先週末は同僚の転勤・激励会がありました。当事者にとっては大変な転機ですが、これを機
に飛躍してほしいものです。

3月は卒業式や転勤などお別れの季節です。卒業式で思い出されるのは、卒業式の歌で
すね。
私の時代ですと「蛍の光」や「仰げば尊し」でしょうか。歌詞が難解で現在は敬遠されている
ようです。

現在は色々な曲が歌われているようですが、一番多いのは「旅立ちの日に」という曲だそう
です。
この曲は学校の先生が書いたオリジナル曲で、それが全国の学校にに広がったそうです。

     ◇  ◇  ◇

「旅立ちの日に」

白い光の中に 山並みは萌えて
遙かな空の 果てまでも 君は飛び立つ
限りなく青い 空に心ふるわせ
自由をかける鳥よ 振り返ることもせず
勇気を翼にこめて 希望の風に乗り
この広い大空に 夢を託して

懐かしい友の声 ふとよみがえる
意味もない いさかいに 泣いたあの時
心通ったうれしさに 抱き合った日よ
みんな過ぎたけれど 思い出強く抱いて
勇気を翼にこめて 希望の風に乗り
この広い大空に 夢を託して

(※)今 別れの時 飛び立とう 未来信じて
   はずむ 若い 力信じて
   この広い 大空に

(※)繰り返し


     ◇  ◇  ◇

メロディーはわかりませんが「蛍の光」や「仰げば尊し」に比べ、若い人たちの気持ちを素直に
表わしているように思います。
このような歌詞をみていると、時計の針が逆戻りしピュアな気持ちになりますね。



2006-03-14 「NEC杯、趙善津九段が初優勝」

 公開早碁・第25期NEC杯の決勝戦は3月4日、東京・芝のホールで打たれ、黒番の
趙善津九段が小林覚九段に5目半勝ちし、初優勝した。趙九段は99年に趙治勲本因坊
の11連覇を阻んで本因坊奪取、00、01年に阿含・桐山杯で連続優勝して以来の栄冠。

                       (朝日囲碁Webより抜粋)

      ◇   ◇   ◇

趙善津九段、久しぶりのタイトル奪取です。棋士の中ではあまり個性的ではなく地味な感じ
ですが、芯が一本通っている印象です。
敗れた小林覚九段、残念でした。昨年の名人戦以来、好調を保っているようですがタイトル
がほしいところですね。

      ◇   ◇   ◇

ところで趙善津九段は「チョウ・ソンジン(韓国読み?)」と呼ばれています。
中国や台湾出身の棋士は日本読み(例:林海峯=りん・かいほう)で呼ばれていますが、
韓国出身の棋士は韓国読みのようです。

 ・柳 時熏 九段(リュウ・シクン)
 ・金 秀俊 七段(キム・スジュン)
 ・金 賢貞 三段(キム・ヒョンジョン)

ただ、趙 治勲 十段(チョウ・チクン)は日本読みだと思いますが・・・

最近は韓流ドラマがTVを賑わしています。「冬ソナ」のペ・ヨンジュン、チェ・ジウなど大変な
話題になりましたが、名前を覚えるのは大変でしょうね。
いずれは中国や台湾の棋士も、本国の呼び方になっていくのではないでしょうか。



2006-03-12 「十段戦第1局 /趙治勲十段が先勝」

 趙治勲十段(49)に山下敬吾棋聖(27)が挑戦する、「第44期十段位決定五番勝負」
第1局は3月8日(水)、千葉県浦安市ので行われ、白番の趙十段が中押し勝ちし、2連覇
へ好スタートを切った。第2局は27日、愛知県蒲郡市の西浦温泉「銀波荘」で行われる。

<趙十段の話> 迷っちゃって…いい勝負かなとは思ったが最後までわかんなかった。
   上辺がコウになったので…。

<山下棋聖の話> 最初から悪かった。だいぶ遅れました。地合いが相当悪いんでダメ
   でした。

                (産経囲碁Webより抜粋)

         ◇  ◇  ◇  ◇

今日(3/12)、「風鈴会」で本対局の解説が行われました。趙十段の魅力、個性など興味
深いコメントもありました。

碁界最多のタイトル獲得を誇る趙十段に対し、先日棋聖位を奪還して波にのる山下棋聖
の新旧対決、いやが上にも盛り上がります。

第1局は趙十段の妥協を許さないギリギリの芸風が、いかんなく発揮され山下棋聖を圧倒
した一局のようでした。

一方の山下棋聖、趙十段の芸風を意識しすぎたのでしょうか、流れをつかみ損ねた格好
となりました。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は千葉県浦安市の「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」。
「東京ディズニーランド」そばににあります。

東京ディズニーランドの開園は1983年4月、もう23年にもなるんですね。開園当時はこんなに
盛況になるとは思っていませんでした。
私自身は訪れたことはありませんが、魅力は来園者に対する「本物の感動の提供」ではない
かと思います。



2006-03-10 「将棋界の一番長い日」

先週の「BS2/囲碁・将棋ジャーナル」で将棋のA級順位戦・最終局の一部を放送して
いました。
この最終局の日(3/3)、BS2ではお昼、夕方、深夜と随時進行状況を放送したようです。
この日は「将棋界の一番長い日」と呼ばれ、将棋ファンにとっては特別の日のようですね。

結果は羽生四冠と谷川九段がともに8勝1敗でプレーオフ進出。
この盛り上がり様は囲碁も負けています。どうも将棋の方が話題性が高いようですね。


          ◇  ◇

囲碁の方は本因坊リーグ戦が3/30に一斉対局が行われ、挑戦者決定、リーグ陥落が決ま
るようです。
現時点では羽根直樹九段が5勝1敗でトップ、張栩九段、依田紀基九段、山田規三生九段が
4勝2敗で追う展開。
「囲碁界の一番長い日」になるか・・・



2006-03-08 「NHK杯囲碁トーナメント/中部VS関西」

「NHK杯囲碁トーナメント」も大詰めを迎え、準決勝第1局は中部勢同士の対戦で、
羽根直樹九段が今村善彰九段を破り決勝に進出しました。
この放送では解説が山城宏九段、聞き手が青葉かおり四段と中部の棋士で占められ
ました。中部の囲碁ファンにとって、こたえられない出来事だったでしょう。

一方、準決勝第2局は「今村俊也九段 VS 森山直棋九段」と関西棋院同士の戦いで、
決勝は「中部VS関西」の決戦となります。
どちらも地元の誇りをかけ、負けられないところでしょう。熱戦が期待されます。
それにしても準決勝に東京本院勢が進出できなかったのは、過去に例がなかったことだと
思います。

「地方の時代」といわれて久しいですが依然、「東京一極中心」であることは変わっていな
いように思います。
「NHK杯」にならって地方と東京がいい意味で刺激し合い、日本全体が活性化してほしいも
のです。



2006-03-06 「世界囲碁最強戦/依田3連勝で日本初優勝」


第7回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦(農心)の第3ラウンドが中国・上海(2/21〜2/24)
で行われ、依田紀基九段が趙漢乗八段(韓国)、孔傑七段(中国)、李昌鎬九段(韓国)に
3連勝し、日本チームが初優勝した。

◆本棋戦の対戦方法は日・中・韓の三国勝ち抜き戦
 ・各国5名の団体戦
 ・持時間 各1時間
 ・秒読み 一手1分

◆日本選手の成績
 ・主将 依田紀基九段: ○○○
 ・副将 高尾紳路九段: ●
 ・三将 山田規三生八段:●
 ・次峰 三村智保九段: ○●
 ・先鋒 羽根直樹九段: ○○●

         ◇   ◇   ◇

依田九段の頑張りで日本が初優勝、おめでとうございます。
本棋戦は韓国が過去6連勝、特に主将の李昌鎬九段はこの大会で14連勝中とまさに
「鉄のゴールキーパー」。その韓国に勝っての優勝ですから価値があると思います。

持時間が1時間の早碁ですから運もあるでしょうが、依田九段の迫力が中・韓を凌駕した
ということでしょうか。
また、国際戦に弱いといわれていた羽根直樹九段も先鋒で2連勝と気を吐きました。

         ◇   ◇   ◇

先の冬期オリンピック、日本は金メダル1個と不本意な成績でした。
色々な競技の世界大会が行われ、自国の成績に一喜一憂していますが、大切なのは何で
しょう。
成績の優劣も大切ですが、その国の外面的・内面的な「豊かさ・美しさ」ではないかと思いま
す。



2006-03-04 「北の零年」

第29回日本アカデミー賞の発表がありました。「ALWAYS『三丁目の夕日』」が最優秀
作品賞をはじめ12部門で最優秀賞を獲得、「ALWAYS」以外では主演女優賞の吉永小
百合(北の零年)のみということでした。

「北の零年」はちょうどレンタルビデオを借りていたので、観たところです。吉永小百合の
凛とした姿がいいですね。
昭和30年代「キューポラのある町」でひたむきな少女を演じてから幾多の映画に出演して
きました。嫌味のない真正直さに共感を覚えます。



2006-03-02 「万波佳奈三段が女流棋聖に返り咲き」

 3年連続で「知念かおりVS万波佳奈」という顔合わせとなっていた第9期ドコモ杯・女流
棋聖戦三番勝負の最終第三局が行われ、挑戦者の万波が白番2目半勝ち。2勝1敗で
タイトル奪還を果たした。

    (週刊碁より抜粋 記・佐野 真)

        ◇  ◇  ◇  ◇

第三局の万波さん、序盤から苦しい立ち上がりのようでしたが、知念さんの緩着にも助け
られて勝利を手中に納めたようです。タイトル奪還、おめでとうございます。

現在女流棋戦のタイトルホルダーは下記の通り、群雄割拠の時代となってきました。
一時は小林泉美さん一強という時もありましたが、最近は誰がタイトルを取るか予想できな
い女流碁界です。

◆女流本因坊:矢代久美子
◆女流名人:青木喜久代
◆女流棋聖:万波佳奈
◆女流最強:小林泉美

        ◇  ◇  ◇  ◇

今回のタイトル戦、「週刊碁」の記事は一昔前の青春ドラマのような表現ですが、新鮮な感じ
がしました。(下記参照)

 あの「涙の失冠」から、ちょうど一年である。
 勝負の世界において、喜怒哀楽をストレートに表現することが、必ずしも称賛に値するとは
言い切れないが、昨年の挑戦手合で二連敗を喫して知念にタイトルを奪われた時に万波が
思わず涙したシーンは、実に新鮮な感動を与えてくれた。

 果たして今の碁界で、対局に負けて泣ける棋士がどれだけいるだろうか? その涙を拭う
ため、報われるかどうかも分からない努力を日々続けられる棋士がどれだけいるだろうか?
 万波のあの涙が、その場限りのものでなかったことはすぐさまリターンマッチの挑戦権を勝ち
取り、こうして三番勝負を戦っている事実が、何よりも雄弁に証明している。  (以下略)


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