●○● 天声人碁 ●○●


2007年3月

2007-03-31 第49回女流アマ選手権/石井茜さんが優勝

 「女流アマチュア囲碁選手権者」の称号をかけての128名によるトーナメント戦結果、
石井茜さん(シード)が2回目の優勝! (3/17・18、東京・市ヶ谷/日本棋院会館)

入賞者は以下のとおり
2位:林むつみさん、3位:金井和子さん、4位:久代迎春さん5位:大沢摩耶さん、
6位:新井菜穂子さん、7位:下坂美織さん、8位:渡辺淳子さん

        (日本棋院HPより抜粋)

     ◇   ◇   ◇

石井茜さん、安定感のある戦いぶりで2回目の優勝でした。過去、本大会からプロに
なった棋士は7、8名いると思いますが、石井さんもプロをめざしているのでしょうか。

この大会も49回を数え伝統の大会となっていますが、第7回大会(1965年)では
小川誠子六段が中学生でこの大会に優勝し、プロ棋士の道に進みました。懐かし
いですね。

     ◇   ◇   ◇

群馬県代表の小学6年・新井さんは1回戦で石井幸さん、2回戦でシードの宇根川
万里絵さんと強豪を堂々と破りましたが、3回戦で惜しくも敗退。
また、渡辺実香さんは残念ながら1回戦で敗退となりました。



2007-03-28 将棋・渡辺竜王が、コンピューターに快勝

 将棋棋士の渡辺明竜王(22)が3月21日、コンピューターソフトと対戦し、快勝した。
将棋のタイトル保持者が公の場でハンディなしにソフトと対戦するのは初めて。
 渡辺竜王に挑戦したのは昨年5月の「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝した将棋
ソフト「ボナンザ」(保木邦仁さん開発)。実力はアマ六段レベルとされる。
 終局後、渡辺竜王は「思ったよりも強くてびっくりした。実力がプロに迫るくらいまできて
いると認めないといけない」と話した。米長会長は「渡辺竜王が負けることも予想した。
ほっとしたというのが本当の気持ち」と話した。

         (朝日将棋Webより抜粋)

      ◇    ◇    ◇

チェスでは世界チャンピオンがコンピュータに敗れて世界的なニュースとなりましたが、
将棋ソフトも予想以上に進化しているようです。
一方、囲碁のソフトはまだアマ初段未満ということでそれほど話題になっておりません
が、序々にレベルアップしていくことは間違いないでしょう。

ただコンピュータと対戦して面白いか、というとどうでしょう。棋力アップのトレーニング
として有効な手段となりそうですが、対戦しての面白味は希薄なように思います。

      ◇    ◇    ◇

ところで「ボナンザ」といえば、1950〜60年代のTV西部劇を思い出します。
まだTV放送が間もない頃で当然白黒TV。日本の時代劇にくらべて新しい風が若者
(団塊世代)に受け入れられたと思います。
「シャイアン」、「ブロンコ」、「ローハイド」、「ララミー牧場」等などTV西部劇を楽しみに
していましたが、親の世代には受けいれられず、チャンネルを奪われて悔しい思いを
していました。

西部劇といえば映画でも数々の名作が生まれましたが、最近ではめっきり少なくなりま
した。
一方、日本の時代劇は評価の高い作品が作られるようになり、見直されつつあります。
嬉しいことですね。



2007-03-26 第54回NHK杯/趙十段が優勝

 囲碁の第54回NHK杯決勝戦(3/18放映)は趙治勲十段(50)が結城聡九段(35)に
黒番3目半勝ちし、11年ぶり4回目の優勝。通算の獲得タイトル記録を70に伸ばした。
表彰式で「最近しきりに『ベテラン』と言われるのだが、気分も精神年齢も結城さんより
若いつもりです」。

    (朝日囲碁Webより抜粋)

   ◇  ◇  ◇

趙治勲十段、変幻自在の奮闘ぶりは迫力ありました。序盤、悪手とも思われる手を堂々
と打ち、非勢をもろともせず勝利をもぎ取る執念は鬼気迫るものがありました。

一方、準優勝の結城九段、順調な打ちぶりでしたが趙十段の熱気に押しつぶされた格好
となりました。他の棋戦でもあと一歩のところで退けられてしまうここ数年ですが、悲運と
いうことでしょうか。

6月の「テレビアジア杯」には日本から趙十段と結城聡九段が出場、両棋士の好成績を
期待しましょう。

   ◇  ◇  ◇

今回の解説は武宮九段、コメントが趙十段の方に偏り気味だったように思います。
確かに趙十段は見る人を驚かせるような着手で存在感はありますが、結城九段の
打ちぶりに対してもう少しコメントがあってもいいのではないかと思っています。



2007-03-24 どこからヨセる?どうヨセる?/風鈴会

今日(3/24)は定例の「風鈴会」の日。今回の講座は
「どこからヨセる?、どうヨセる?」

ヨセは研究課題として地味な分野ですので、アマは軽視し
がちですが勝敗を決める最後のステージとして、もっと注目
する必要がありますね。

   ◇   ◇

講座の中で私はよく質問します。「その定石は旧型ではないか?」、「この定石は
プロはあまり使わないがなぜか?」等々、そうすると他の人たちは「この人はかなり
強いのでは・・・」と錯覚するようです。
でもそれは勘違いで、単に「事情通」というだけで対局してみると「ザル碁党」だと
すぐに分かってしまいます。

どの世界でもそうですが理論は立派でも、実績がともなわなくては認めてもらえません。
私自身、なんとか実力五段のレベルになりたいと思っていますが、そのためには「ヨミ・
形・勝負感・・・等」の能力を磨く必要があると思っています。



2007-03-22 第5回正官庄杯/韓国が優勝

 第5回正官庄杯世界女流最強戦(国別勝ち抜き団体戦)は、3月15日、最終局で
韓国の5番手・李ミン真五段が矢代久美子五段を破り、5連勝で韓国が初優勝。

      ◇   ◇   ◇

日本は青木喜久代八段、万波佳奈三段、加藤啓子五段、小西和子八段、矢代久美子
五段の5人が出場。
2番手の万波佳奈三段が3連勝、3番手の加藤啓子五段も1勝して初優勝が期待され
ましたが、韓国・李ミン真五段が驚異の5連勝で韓国に初優勝をもたらしました。

日本チーム残念でしたね。4番手の小西八段、5番手の矢代五段、ともに韓国5番手・
李五段を追い詰めながら逆転を喫したそうです。

今年1月に行われた世界王座戦最終局(韓国/李世ドル九段vs張栩碁聖)でも李九段
が劣勢な碁を逆転し、優勝しました。韓国棋士は逆境の場面でも本当に勝負強いという
印象です。

    ◇    ◇    ◇

日本の棋士はプロセス重視で、勝負に対し淡白なところがあるのでしょうか。
日本で囲碁は文化という面もあり、「勝負にこだわり過ぎるのは美しくない」という意識
があると思います。
勝負は勝ってもらいたいですが、美意識も失ってほしくないですね。



2007-03-20 26期NEC杯、張栩碁聖が優勝

 囲碁の公開タイトル戦「第26期NECカップ囲碁トーナメント戦」決勝が3月10日、
東京都港区のメルパルクホールで打たれ、黒番の張栩碁聖が高尾紳路名人・
本因坊に中押し勝ちした。張碁聖の優勝は2年ぶり2度目。対局の模様は25日
午前5時45分からテレビ東京で放送する。

            (日経 e-碁サロンより抜粋)

      ◇   ◇   ◇

張栩碁聖が宿敵、高尾名人本因坊に競り勝って優勝。張碁聖、短時間の碁では本邦
随一でしょう。NEC杯の他に、竜星戦、阿含・桐山杯のタイトルを保持しています。

敗れた高尾名人本因坊、張碁聖のスピードとパンチに圧倒されたようです。

      ◇   ◇   ◇

張碁聖はどちらかといえば短距離選手、高尾名人本因坊は
長距離選手といえそうです。
中・韓の棋士も短距離選手でしょうね。

従来、日本の棋士は中・長距離で戦ってきましたが、国際
棋戦は短距離が中心。
日本棋士も今後は瞬発力が要求されるでしょう。

私自身の場合は長距離は息切れで棄権、短距離しか無理なようです。
ただし、もう少し「読む」体力をつけて、中距離でもバテない持久力をつけたいですね。



2007-03-18 美しき勝負師/週刊朝日


今週の週刊朝日(3/23号)に女流棋士の記事とグラビアが載っていました。
梅沢由香里、万波佳奈、青葉かおりの3人を取り上げ、タイトルが「強い、かわいい、
美しい!/囲碁界のセクシー美女3人娘」。

囲碁ファンからするとこのタイトルは「ちょっと違うんじゃないの」という気がしますが、
週刊誌としてはオーバー気味のアピールも定石ということでしょうか。
記事は3人の特長、経歴などが半ページ程度、グラビアは5ページで、春めいた服装
の3棋士の笑顔が魅力的です。

囲碁に縁のない読者にとっては、芸能界のアイドルと同様に写るかもしれませんね。
この記事を読んで囲碁に親しみを持ってもらえば、ありがたいと思います。

グラビアの中で囲碁関連の俳句が紹介されていました。これは味があります。

◆ 碁に負けて 忍ぶ恋路や 春の雨
    −−子規
◆ 連翹(れんぎょう)の 奥や碁を打つ 石の音
    −−漱石
◆ 花いまや 曼荼羅ふらせ 盤の上
    −− 松濤楼



2007-03-17 棋士のボヤキ/NHK杯

先週のNHK杯準決勝は趙治勲十段と依田紀基九段の対戦でした。
中盤までは趙十段が無理気味な着手で苦戦、依田九段が優勢に打ち進めていました。
中盤以降、趙十段はボヤキながらも必死の粘り、ここで依田九段が疑問手を打ち勝負は
混迷状態。

この疑問手から依田九段もボヤキが始まりました。そのボヤキ方は今までにないほどの
大仰なもので驚きました。
見ている方も同情したり、もっと冷静に打ってくれないかという思いで複雑な心境でした。
感情をストレートに表すのも悪くはないでしょうが、勝負師としてはどうかと思います。

    ◇   ◇

結果は趙十段が乱戦を制し、明日(3/18)の決勝戦で結城聡九段と対戦します。
どちらも妥協を許さない芸風で乱戦となりそうですが、見応えのある碁を期待しています。



2007-03-15 第45期十段戦/趙十段が先勝


 趙治勲十段(50)に山下敬吾棋聖(28)が挑戦する「第45期十段位決定五番勝負」の
第1局が、3月8日、新潟市の岩室温泉「高島屋」で行われ、白番の趙十段が中押し
勝ちし、3連覇へ向けて好スタートを切った。
 第2局は3月29日、愛知県蒲郡市の西浦温泉「銀波荘」で行われる。

    (産経囲碁Webより抜粋)

 超スローペースの序盤戦で、趙十段がやや強引にみえる仕掛けからペースを掴み、
その後も快調な打ち回しで一度もリードを奪われることなく最後まで押し切った。

    (週刊碁より抜粋)

  ◇  ◇  ◇

趙十段が独特の打ち回しで、山下棋聖を圧倒しました。この一局を見ると往年の
「最強:趙治勲」の世界がよみがえる思いです。

さきの棋聖戦で小林覚九段に4連勝で防衛を果たし勢いに乗る山下棋聖でしたが、
本局では趙十段の力投にフルスイングできず、押さえ込まれた一戦となりました。

趙十段の強さが光った第1局でしたが、第2局以降はどんな流れになるか。
世代間の戦いに注目が集まります。

  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は新潟市の岩室温泉「高島屋」。前日から雪が降り、当日も雪が
舞っていたそうです。雪景色の中、和風旅館での対局、絵になるでしょうね。

北国の趣きは雪景色の中にあるようで、冬の北国を旅してみたいと思います。
でも寒い時期の外出は億劫ですね。



2007-03-13 女流名人戦第3局/加藤五段がタイトル奪取

新女流名人が誕生した。1勝1敗で迎えた第19期女流名人戦挑戦手合三番勝負は
3月7日、東京・市ヶ谷の日本棋院で行われ、挑戦者の加藤啓子五段が、青木喜久代
女流名人に中押し勝ち。勝勢を築いた直後の、青木無念の見損じによる逆転劇だった。
青木の女流タイトル獲得数歴代単独トップの記録はしばしおあずけ。初タイトルの栄冠
をかちとった加藤は、昨年の結婚に続き、ビッグな朗報をファンに届けた。

           (週刊碁より抜粋)

     ◇   ◇   ◇

加藤新女流名人、タイトル奪取おめでとうございます。ここにきて一気に花が咲いた
感じです。溝上八段との結婚もプラスに作用しているのでしょう。

一方、タイトルを失った青木さん、終盤での見損じは残念でした。次は女流タイトル
数新記録と九段昇段に向けてがんばってほしいと思います。

     ◇   ◇   ◇

終盤での見損じ、青木さんも悔しかったでしょうね。
私たちアマの碁では見損じ、うっかりミス、思い込み、誤解等は日常茶飯事です。

ミスに気付いたときの寒々しい気持は何ともいえませんね。
「気がつかないでくれ〜」と祈るのですが、こんな時に限って相手は時間をかけてミス
を追求してきます。

ミスを少なくするためにはどうするか。確認作業をきっちりとすることでしょうか。
分かっちゃいるけど・・・・



2007-03-11 2007/RT早春囲碁合宿

昨日/今日(3/10〜3/11)と勤務先囲碁部の早春合宿を開催しました。
今回の参加者は12名で高崎周辺からは4名、あとは東京方面からの参加でした。
いつもに比べて参加者が減少し、やや残念ですがその分親密度は増したように
思います。
場所は昨年の夏期合宿同様、埼玉県小鹿野町の「越後屋旅館」、私自身としては
5回目となります。

指導プロ棋士は佐藤文俊五段、ワンポイントレッスン、指導碁、宴会と深夜まで
エネルギッシュに付き合っていただきました。
上達の秘けつをたずねたところ、「一局に時間をかけて打つ」ということでした。
「ネット碁」では持ち時間20分程度ですが、これではレベルアップは無理という
ことでしょうか。
またネット碁の効果も否定的でした。しかし碁会所が衰退している現在、囲碁ファン
にとっては「ネット碁」は欠かせない状況になっています。

   ◇   ◇   ◇

もう何年も囲碁合宿を行ってきましたが、仲間との対局、対話、宴会など囲碁は
大切なコミュニケーションの手段となっています。
囲碁が「人生のいろどり」になれば幸甚と思っています。



2007-03-09 交通事故対策術/ためして合点

先日、NHKのTV番組「ためして合点」で高齢者の交通事故対策を解説していました。
高齢化による「脳」の衰えと関係があるという話で、加齢により「視野が狭くなる」、
「判断力が低下する」ことから交通事故につながるということでした。

「年をとると視野が狭まる理由」
光は目の網膜で電気信号に変換され、脳に運ばれます。しかし、そのすべての情報を
処理すると容量オーバーになってしまうため、脳では映像の一部を選んで処理しています。
年をとると処理能力が衰えるため、視野が狭くなってしまうのです。

「判断力が低下する理由」
脳には「前頭前野」と呼ばれる部分があり、判断や割り振りなどを担当しています。
しかし、加齢とともに前頭前野の能力が衰えると、判断や割り振りに時間がかかる
ようになります。

この機能低下の対策として、脳トレーニングと危険予測トレーニングが有効だそうです。
・確認作業は感覚ではなく、ちゃんと左右に顔を向けること。
・運転に集中できるように危険予測をする。

車を運転すると街は車だらけ、事故が起きないのが不思議くらいですが、できる限り
工夫し「事故に遭わない、事故を起こさない」ように心がけたいと思います。

   ◇   ◇   ◇

囲碁の能力も加齢とともに、視野が狭くなり判断力が低下します。
私自身もその傾向をヒシヒシと感じるようになりました。

対策としては「時間をかけて視野を広く眺めること」、「直感だけに頼らず、しっかりと
確認作業をする」ということでしょうか。

昨日のブログは「直感の7割は正しい」という内容でしたが、趣味の世界とは違い現実
はきびしいものがあります。



2007-03-08 直感の7割は正しい/将棋・羽生善治

先日(3/3)、TV番組「世界一受けたい授業」で将棋の羽生三冠が出ていました。
テーマは「直感の7割は正しい!先を読む頭脳  − 日々の生活は決断の連続!
天才棋士羽生善治先生が、先を読み的確な判断を下すコツを教えます。」

この中で「指運」について語っていました。

指運という言葉があるんですが、どうすればいいか分かっていて指す一手ではなくて、
どうしようか訳が分からなくなった時に、手がいいところに行くかどうか。「指運の勝負」
とよく言うんですが、将棋には偶然のようなものがすごく大事なのです。最後は運とか
気合いとかそういうものが勝ってしまうものなのです。
最後は、直感や自分が持っている確信が持てないものを信じられるかどうかが大事に
なります。

    ◇   ◇   ◇

囲碁の世界でも将棋と同様に「指運」という感覚はあるようです。
「直感を信じられるかどうか」、これが難問です。

私などザル碁党にとってはまず直感力を鍛えないとダメなんでしょうね。
そのためには詰碁や棋譜並べなど「地道な努力」しか道はないようです。

「地道な努力」、これがまた難問です。
実戦と異なり緊張感はない、すぐ見える達成感もない、ということでネットの実戦
(ザル碁)を繰り返している日々です。
いろいろ、向上策を考えてみますが実行にいたりません。
羽生三冠もいっていました。

現代は情報化社会と言われていますが、知識・記憶・計算などは、結構簡単に
できるものであったり手に入るものですから、これから先はあまり重要ではない
のではないかと思います。
むしろ例えば「何か実際に行動する事」とか「決断をする事」とかの方が大切なの
ではないでしょうか。



2007-03-07 早春囲碁合宿/2007

今週末は勤務先囲碁部の合宿です。
参加者は12名+プロ棋士(佐藤文俊五段)の13名で、前回(17名)より少なくなって
います。

退職したOBの参加も最初はよかったのですが、月日の経過とともに減少傾向です。
各人それぞれの生活空間を見出しているのでしょうか。

   ◇   ◇   ◇

企業内のクラブ活動はどこもきびしい状況のようです。
サラリーマンにとって本来業務が中心であることに異存はありませんが、仕事を離れた
コミュニケーションも企業運営にとっては重要なことだと思います。

運動会、職場の旅行など今はほとんど見られませんが、懐かしい思い出です。

プライベートの時間を会社関係の行事に費やすのは無意味という方もいますが、
こうした業務外の活動の中から、協調関係が良好になるのも事実だと思います。



2007-03-05 女流棋聖戦/梅沢五段が初タイトル

 囲碁の第10期女流棋聖戦三番勝負で万波佳奈女流棋聖(23)に挑戦していた
梅沢由香里五段(33)が2月28日、2勝1敗で勝った。テレビの囲碁番組や漫画
「ヒカルの碁」の監修で知られる囲碁界きっての人気者が初タイトルを手にした。
 梅沢新女流棋聖は過去、女流最強戦と旧女流鶴聖戦で、ともに準優勝。それだけ
に今回は「めちゃくちゃうれしいです」。

        (朝日囲碁Webより抜粋)

<梅沢新女流棋聖の話>
 タイトルホルダーになれば、それだけの責任が生じます。自分の力のなさを感じて
いるので、いまはもっともっと強くなりたいですね。女流棋聖にふさわしい力をこの
一年でつけたいと思います。


<万波三段の話>
 女流棋聖戦ではあまりにおとなしかったので、反省しました。引くか押すかの選択
では押していこう、と。その方が自分らしいし、、自分を出さなければしかたない。


        (週刊碁より抜粋)

     ◇   ◇   ◇

梅沢新女流棋聖、悲願のタイトル奪取おめでとうございます。
囲碁界のアイドルとして、各種イベントや普及での活躍は囲碁界随一。
そして今回はタイトル奪取で実力も第一人者、今後も幅広い活躍が期待されます。

敗れた万波三段、残念でしたがまだまだチャンスはあります。今後も「華麗なる戦い」
をみせてほしいと思います。

     ◇   ◇   ◇

囲碁普及やイベントで女流棋士の存在は欠かせません。男性とは違った何かがある
のでしょう。
男性の指導者だと「レベルアップ」を第一に考えますが、女性の場合は「楽しむ」ことが
第一歩ような気がします。



2007-03-04 女流名人戦第2局/青木女流名人勝ち1勝1敗

 青木喜久代女流名人に加藤啓子五段が挑戦する女流名人戦第2局は、2月28日に
日本棋院で行われ、黒番の青木女流名人が加藤五段に中押し勝ちし、対戦成績を
1勝1敗のタイとした。最終第3局は3月7日、東京・日本棋院で行われる。

           (産経囲碁Webより抜粋)

 青木女流名人が序盤の一瞬の隙を逃さず、加藤必死の反撃を封じて勝局を支えきった。
 本局は緒戦の結果と似たようなコースをたどった。中盤でリードした黒の逃げ切り勝ち
である。

           (週刊碁より抜粋)

     ◇   ◇   ◇

青木女流名人、女流囲碁界の第一人者としてさすがに簡単にタイトルは渡しません。
加藤五段、中盤までの着手に乱れがあったようで後半の追い上げも届かずでした。

青木女流名人は「緑星学園」出身、加藤五段も3年ほど緑星学園で学んだ時期がある
そうです。
注目の最終局(第3局)は3月7日、熱戦が期待されます。

     ◇   ◇   ◇

女流名人戦の対局場所は日本棋院。タイトル戦としては異例かもしれませが対局者、
主催者にとっては楽かと思います。

日本の主要タイトル戦は地方のホテルや温泉旅館で行われますが、韓国のタイトル戦の
ほとんどは韓国棋院またはその近辺で行われるようです。

対局者にとって地方での対局は日程や体力面で負担となります。
勝負だけを考えれば中央での対局の方が合理的でしょうが、囲碁文化・普及などの点を
考えると地方対局の良さも十分あります。



2007-03-01 棋聖戦第4局/山下棋聖が4連勝で初防衛


 囲碁の第31期棋聖戦七番勝負、山下敬吾棋聖(28)と挑戦者、小林覚九段(47)
第4局は2月22日から富山県高岡市の「雨晴温泉 磯はなび」で行われていたが、
白番
の山下が中押し勝ちし、4連勝で棋聖位を初防衛した。
 これまで5つのタイトルを獲得している山下だが、防衛に成功したのは初めて。
山下は
昨年、4連勝で棋聖位を奪還、2年連続で4連勝で勝負が決まったのは棋聖戦
史上初。


                (読売新聞より抜粋)

         ◇  ◇  ◇  ◇

山下棋聖、破竹の4連勝で初防衛となりました。昨年も羽根前棋聖に4連勝とこの棋戦
では絶好調です。
本局では山下棋聖の柔軟なサバキが「技あり」で、寄り切った一局のようでした。
本シリーズ、小林九段の不調もあったかもしれませんが、硬軟自在に打ち分ける山下
棋聖の強さが際立ちました。

一方の小林九段は若手の旗頭を前に力みが感じられ、流れに乗れなかったシリーズ
でした。
後半の粘りも淡白でイマイチ元気がなかったようです。
本シリーズでは苦杯をなめましたが、このままではファンが納得しません。捲土重来を
期待しましょう。

         ◇  ◇  ◇  ◇

囲碁棋聖戦は読売系列の日本テレビで「棋聖戦・激突の譜」をTVで放映していました。
日曜日の朝5時頃なので「留守録」で予約し後で見ることになりますが、民放の囲碁番
組として最近では珍しくなりました。

視聴率最優先のTV業界ですが、深夜の空いた時間でも囲碁番組を流してほしいと
思います。
NHK/BSでも放送していますが、タイトル戦のスポンサーが制作となればNHKとは違った
内容になると思います。

主要棋戦と主催新聞社/系列TV局一覧
 ・棋聖戦(読売/日本テレビ)
 ・名人戦(朝日/テレビ朝日)
 ・本因坊戦(毎日/TBS)
 ・十段戦(産経/フジテレビ)
 ・王座戦(日経/テレビ東京)

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は富山県高岡市の「雨晴(あまはらし)温泉/磯はなび」。4年前の第27期
棋聖戦七番勝負第5局もこの地で行われました。
当時の挑戦者・山下敬吾七段が王立誠棋聖に対戦成績4勝1敗で破り、初の棋聖を獲得
したところだそうですが山下棋聖は覚えていなかったそうです。
対局地のことなど無頓着なところが大物、山下棋聖らしいかもしれません。

富山県はじめ北陸地方は「住みやすい県」ランキングで上位を占めます。堅実な風土が
伝統なのでしょうか。
戦後の日本は「消費社会」に移ってきたようですが、北陸地方の暮らしぶりから学ぶことが
あるような気がします。


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