●○● 天声人碁 ●○●


2007年11月

2007-11-29 第2回若鯉戦/16歳・志田達哉初段が優勝!

30歳以下五段以下の棋士16名によって争われる、 「第2回広島アルミ杯若鯉戦」
の準決勝と決勝戦が11月18日(日)に行われ、 中部総本部所属、志田達哉初段
が三谷哲也四段を下し初優勝した。 志田初段は16歳11ヵ月で最年少参加者だっ
た。 (昨年優勝の謝依旻三段も前回最年少参加者)

【決勝戦の結果】
・三谷哲也四段―志田達哉初段 白番・志田初段の3目半勝ち
【準決勝の結果】
・三谷哲也四段―安斎伸彰四段 黒番・三谷四段の1目半勝ち
・謝依旻若鯉杯―志田達哉初段 白番・志田初段の中押し勝ち

      ◇

  「サウスポーの時代がやって来る?!」

左利きの棋士といえば福井正明九段、小県真樹九段、森田道博九段、井山裕太
七段などがいます。
先日の広島アルミ杯若鯉戦で優勝した志田達哉初段も左利きです。
アマチュアのみなさんも気分を変えて左手で打ってみるのはいかがでしょう。
着手が
一路ずれてしまっても責任持ちませんが。

     (日本棋院HPより抜粋)

    ◇   ◇   ◇

本棋戦、昨年は謝さんが優勝しその後は女流本因坊位奪取など、破竹の快進撃
を果たしました。
今年は16歳の志田達哉初段が優勝、謝さん同様今後の活躍に注目ですね。
志田初段は中部総本部の院生時代、毎週福井から名古屋に通っていたそうですが
地方出身者は大変です。

左利きの棋士が増えているそうですが、初代のサウスポー棋士は誰でしょうか。
伝統や格式などがうるさかった戦前では、認められなかったかもしれませんね。



2007-11-27 33期天元戦第3局/河野が2勝目、3連覇にあと1勝

 第33期天元戦五番勝負の第3局が11月22日、福岡県大牟田市で打たれ、
黒番の河野が中押し勝ちした。河野は対戦成績を2勝一敗としタイトル3連覇に
あと1勝と迫った。第4局は12月6日、兵庫県淡路市で行われる。

 序盤は穏やかな立ち上がりだったが、中盤からは「非常に難解なせめぎ合い」
(高木祥一九段)が続く、激しい戦いとなった。
河野天元は左辺上部に厚みを築き、山下は中盤から中央の黒模様を荒らそうと
したが、黒が手ごわく応戦、乱戦となった。
終盤、山下は下辺でコウを挑み、逆転を狙ったが、河野が左上隅を制して押し
切った。

<河野臨天元の話>

 中盤どう作戦を立てていいか分かりませんでした。中央の戦いも自信があったわけ
ではありません。終盤セキ崩れになったところで勝ちになりました。

<山下敬吾棋聖の話>
 ずっと苦しいと思っていました。中央の攻め合いもうまい手が見つかりませんでした。
最後、下辺でコウになり、チャンスが来たかと思いましたが、正しい打ち方が分かりま
せんでした。

             (西日本新聞より抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

河野天元が乱戦を制して2勝目、防衛まであと1勝と迫りました。河野天元の風貌
からすると冷静で知的な印象ですが本シリーズでは格闘技の様相ですね。

一方、カド番に追い込まれた山下棋聖、乱戦は得意とするところでしょうが河野天元
の反撃にタジタジのようです。
山下棋聖はこの天元戦で○●●、並行して行われている今村九段との王座戦で
○●と一進一退、この5局はすべて中押し勝負。
王座戦は今日(11/27)、明後日(11/29)に第3局、第4局を箱根で対局、全国をま
たに山下、孤軍奮闘といったところでしょうか。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は福岡県大牟田市の旧三井港倶楽部。明治41年、三井財閥の迎賓
館として建てられた西洋建築で、大牟田市指定文化財。現在は総合結婚式場、レス
トランとして営業しているそうです。


大牟田市は日本の石炭産業盛衰の歴史と同じ歩みを
刻んできているようですが、業態を変革するのは大変な
ことだと思います。

現在、石油価格の高騰が問題になっていますが資源は
有限、人間の英知が試される時代でしょう。


2007-11-26 TVドラマ/点と線

昨日(11/25)、一昨日(11/24)とTVドラマ/「点と線」を見ました。
松本清張/推理小説のドラマ化ですが、昭和30年代のベストセラーでこの時代に
読んだ多くの人が、このドラマを見ていたのではないでしょうか。
もうストーリーはすっかり忘れていましたが、東京駅での有名なシーンはずっと記憶
の片隅に残っていました。

ドラマの評価はよく分かりませんが個人的にはレトロな雰囲気が懐かしく、平均点
以上の作品ではないか思っています。
ただ若い人たちにはどうでしょうか。この時代のトリックが現代では成り立たない
部分もあるでしょうし、展開がゆっくりしすぎという印象も受けるかもしれません。



     ◇   ◇

これから団塊世代が定年を迎えTVやラジオに接する機会も多くなると思われますが、
この世代を満足させる本物の番組を提供してほしいものです。



2007-11-24 激闘をふり返ろう/風鈴会

今日(11/24)は定例の「風鈴会」の日、今回の講座は
「団体戦から〜激闘をふり返ろう!」。

先日行われた団体戦より会員(Oさん:4級、Hさん:初段)
の対戦2局の解説でした。

解説を聞いて感じたのは「アマは自分の都合のいいように局面を解釈する」ということ
でしょうか。相手も必死に考えていることを忘れてしまうんですね。

プロがアマの対局解説で「これはすばらしい手だ」といわれることがあります。
プロはその根拠を明確に示してくれますが、対局者自身がどこまで理解しているか
疑問です。この落差を埋めていくことが、棋力向上ということでしょうか。

    ◇  ◇

囲碁教室や講座では布石・手筋・詰碁・ヨセ・プロの棋譜解説など、いろいろなテーマ
の講義があります。
そんな講義の中で私は「アマの碁の解説・手直し」が一番ためになるし、なにより面
白いと思っています。
アマの棋譜の中にはわれらザル碁党と同じ思いとドラマ(喜劇?)があるような気が
します。



2007-11-21 第55期王座戦第2局/今村九段が熱戦制しタイに

 11月15日、大阪市で打たれていた第55期囲碁王座戦5番勝負第2局は、白番の
挑戦者、今村俊也九段が黒番の山下敬吾王座に中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗
のタイにした。第3局は27日、神奈川県箱根町の龍宮殿本館で行われる。

<今村俊也九段の話>
 白が厚いところを攻められて悪くなったかなと思っていました。地元なので、山下さん
が気を使ってくれたのかもしれません。1勝できて良かったです。

<山下敬吾王座の話>
 地合は悪くなかったと思いますが、中央が薄く、あっという間につぶされてしまいま
した。途中からはぐちゃぐちゃになってしまいました。

    (日経e-碁サロンより抜粋)

      ◇   ◇   ◇

今村九段が地元で意地を見せました。序盤から黒番の山下王座が攻勢をかけ、白の
今村九段は防戦気味でしたが一瞬の隙をつき黒の大石を召し取り、中押し勝ちとしま
した。

本シリーズはこれで1勝1敗のタイ。山下王座は天元戦でも河野天元を相手に1勝1敗
と一喜一憂、ファンを楽しませてくれますね。

      ◇   ◇   ◇

今回の対局地は大阪市の「リーガロイヤルホテル」。対局はホテル内の囲碁サロン
「橘中楽」を借り切って行われたそうです。
この会員制囲碁サロンの会費をみてビックリ、とても庶民が行けるようなお値段では
ありません。
豪華なサロンで対局するのも、古い碁会所で対局するのも碁を楽しむ気持に変わりは
ないと思いますが・・・(本音は負惜しみ)。
大盤解説会の会場はホテル内にある結婚式で使うチャペル、十字架のある場所に
大盤が設置されたそうですがこれも時代でしょうか。



2007-11-19 県少年少女秋季囲碁大会/2007

昨日(11/18)は「群馬県少年少女秋季囲碁県大会」が行われました。
例年、小中学生の大会は春から夏にかけて県代表選抜を兼ねた団体戦と個人戦の
2大会がありました。
秋季大会は「県内の囲碁好きな子供たちに、もっと交流の機会を」と初めて開催される
ことになりました。参加者は58名と前の2大会とほぼ同じ規模でした。

   ◇   ◇

中学生の参加は少なく大半は小学生で、両親、祖父母などが付き添ってくる人も
少なくありません。
対局に負けて泣いている小学生を母親が困った様子でなだめていましたが、運動会
などでもこのような場面が見うけられます。
この悔しさをバネに頑張る人と、もうイヤだと諦める人、この分岐点が難しいところで
親・指導者の対応次第で先の状況が変化していきます。

前に進むための原動力になるのは、その未来に夢が持てることでしょうが、それを
説いてもなかなか行動には結びつきません。
子供たちと同じ視点で泣いたり笑ったり、共感する気持が大切でしょうね。




2007-11-17 RT囲碁部/2007/11月例会

今日(11/17)は「RT高崎囲碁部」の月例会でした。
参加者は7名と相変わらずの低迷状態です。

大会の参加者数は多いほど活気がありますが、新しく他の会に参入するには結構
エネルギーが必要です。
やはり馴染みのグループで打ちたい、という人も多いのではないかと思っています。

会員は少なくてもその分絆が強いのも、一つの会のあり方かもしれません。



2007-11-15 第33期天元戦第2局/河野が勝ち、タイに

 第33期天元戦5番勝負の第2局が11月8日、滋賀県長浜市で打たれ、白番の
河野が中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗のタイとした。 第3局は11月22日、福岡
県大牟田市で行われる。

 黒番・山下の三連星に、左下と右上で勢力を築いた河野が中央で戦いを挑んだ
本局。最後は中央の黒地を食い破って、粘る山下を投了に追い込んだ。

<河野臨天元の話>
 中盤の戦いが一段落した時点で、地で大変になっていました。上辺で黒二子を
取り、終盤のコウをツイだところで勝ちになったと思いました。

<山下敬吾棋聖の話>
 悪くないと思っていましたが、右下隅の打ち方が分かりませんでした。もっと堅く
打つべきでした。

             (中日新聞より抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

第1局に続き本局も乱戦模様でしたが、河野天元がしぶとく戦い抜き1勝1敗のタイと
しました。
本局、山下棋聖は三連星からの大模様作戦で攻勢に立つも、河野天元がヨセで追い
上げ、最後はコウで勝負を決めた一局のようでした。

昨今の戦型をみると布石らしきものは省略され、序盤から激しい戦いの碁が多いよう
ですが、この一局は昔からある三連星の布石でした。
三連星はアマに人気のある大模様作戦ですが、攻めの良否で一気に勝負が決まる
ところに醍醐味があるようです。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は滋賀県長浜市の「長浜ロイヤルホテル」。琵琶湖の北東部に位置する
歴史ある町です。

琵琶湖で思い起こすのは毎年夏に行われている「鳥人間コンテスト」。
空を飛ぶことにすべてを賭けている「熱い思い」がTVの画面からも伝わってきます。
「夢中になる」ってことは何かしらの感動を呼ぶものですね。



2007-11-13 第32期名人戦第7局/張碁聖が名人位を奪還

 第32期囲碁名人戦七番勝負の第7局は11月8日より静岡県熱海市で打たれ、
挑戦者の張栩碁聖(27)が高尾紳路名人(31)に黒番2目半勝ちし、通算4勝3敗
で名人位を奪還した。2年ぶり3期目の名人返り咲きとなる。

<張新名人の話>
 7局とも難しい碁ばかり。今はただ、やっと終わってほっとしています。

<高尾名人の話>
 負けたのは実力の差。自分なりによく頑張れたので、悔いはありません。

<武宮陽光の目> 歴史に残る名勝負

 序盤から戦いにつぐ戦いで、最終局にふさわしい、両者気合の入った大熱戦
でした。

 戦いが下辺から上辺に移ったあたりから、やや白の辛抱の時間が続きましたが、
左上隅で名人のパンチが入ってそれが決め手になったかと思われました。しかし
その後の張挑戦者のリカバリーが素晴らしく、黒187の手止まりに回っては黒の
勝ちが動かなくなったようです。

 シリーズを通して見させていただきましたが、お二人の戦いはまさに実力伯仲で、
局とも大変素晴らしい歴史に残る大勝負だったと思います。これだけ難解な碁をこ

ほど正確に打たれるのを、間近で見ていて僕も感動、興奮し大変勉強になりました。


             (朝日新聞より抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

七番勝負の最終局は張栩碁聖が難局を制し、名人位に返り咲きという結果になりま
した。大熱戦の本シリーズ、両者の真剣勝負を十分堪能させてもらいました。(ザル碁
党なりに・・・)

囲碁ファンにとっては興奮の大激戦でしたが、新聞などマスコミではそれほどのニュー
スにはなっていないようです。
主催紙の朝日新聞では一面に掲載されていましたが、他紙ではほんのわずかのスペ
ースに載っているだけで、TVのニュースにもなかったように思います。

昭和30年代〜40年代の頃は新聞・雑誌・TVなどで、もっと大きく取り上げられたと思
いますが残念ですね。
娯楽の多様化などといわれていますが、最近の娯楽・レジャーを見ていると何となく薄っ
ぺらな印象を受けますが、映画「ALWAYS/三丁目の夕日」世代の偏見でしょうか。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は静岡県熱海市の「あたみ石亭」。囲碁・将棋のタイトル戦で幾多の名
勝負を演出してきた高級割烹旅館のようですが、庶民には敷居が高そうです。

今シリーズは最終7局までいきましたが、4局でシリーズが終わることもあります。そん
なとき、主催紙はじめ関係者の落胆は大きいでしょうね。
「週刊碁」で依田九段が「6局までいかないと責任を果たしたことにはならないぞ」と新
聞社の人に脅された、という記事が載っていましたが、本シリーズは主催紙・宿泊施設
などの関係者はじめ、囲碁ファンにとっても大満足のシリーズではなかったでしょうか。



2007-11-12 日中囲碁団体戦2007/風鈴会

昨日(11/11)は「第24回日中友好囲碁大会/団体戦」が日本
棋院で開催され、「風鈴会」チームの一員として参加してきました。

この大会は昨年に続き2回目の出場となりますが、500人を超え
る大会ということで主催者はじめ関係者のご苦労は大変なことと
思われます。

風鈴会からは7チームが参加し、2チームが優勝を果たしました。
私のチーム(5人)は有段者Bクラス(ハンディ戦)で2勝2敗、昨年は4連勝の優勝
でしたが今回は残念な結果となりました。

私個人は1勝3敗とチームの足を引っ張ってしまいました。前回は3勝1敗でしたの
で実力ダウンを認めざるを得ません。
ネット対局とテレビ観戦だけでは現状維持も難しいということでしょうか。

この敗戦を機に今一度、棋力向上策を考えています。来年こそは・・・。

   ◇   ◇   ◇

団体戦終了後は近くのレストランで恒例の打上げ、仮装やスピーチなどで盛り上がっ
ていました。
このメンバーは「囲碁」という共通項を除いて年齢、棋力、職業、地域などの垣根が
なく、不思議なコミュニティをかもし出しています。



2007-11-09 小沢氏、与謝野氏が対決 プロよりおもしろい?

 民主党の小沢一郎代表と自民党の与謝野馨前官房長官が10月28日、東京都内
のホテルで「囲碁対決」に臨み、小沢氏が序盤の劣勢を跳ね返して15目半の大差で
与謝野氏を降した。参院での与野党逆転を機に、政権交代に向け攻勢をかける小沢氏。
次期総選挙でも囲碁同様に「白黒つける」ことができるか――。

 政界きっての囲碁好きで知られる両氏。30代半ばに始めた与謝野氏に対し、小沢
氏は5、6年前からプロ棋士に師事しており、与謝野氏に一日の長がある。与謝野氏
は官房長官時代に「小沢評」を聞かれ、「囲碁の世界では指導していた」と発言。これ
を機に日本棋院などが両氏の対局を企画した。

 この日は白番の小沢氏が中盤から碁盤を広く使って逆転。2時間半に及んだ熱戦を
制した。「小沢さんは強くなっちゃった。油断した」と悔しがる与謝野氏に対し、小沢氏
は「(腕前は)似たり寄ったりじゃないの」と余裕の表情。大盤解説した依田紀基九段は
「なかなか見せる、プロよりおもしろい碁」と評した。

        (毎日新聞より抜粋)

    ◇   ◇   ◇

現在、政界は幻の「大連立」を巡って紛糾していますが、その張本人である民主党の
小沢さんが事の起きる1週間ほど前に自民党の与謝野さんと対局していたんですね。
重大な決意の直前に悠々と囲碁対局というのも、大物といっていいのか・・・?
今回の一件で小沢さんにたいする評価は大幅ダウンのようですが、大局観に問題が
あったのでしょうか。

ザル碁党員からみると「どうにも前に進めず困っている」といわれたら、敵であっても
「できる範囲で協力しよう」と考えるのが人情のような気がしますが、そんな単純な
問題ではないようですね。



2007-11-08 第33期天元戦第1局/山下が初戦制す

 河野臨天元(26)に山下敬吾棋聖・王座(29)=旭川出身=が挑戦している第33期
天元戦五番勝負の第一局11月2日、釧路市で打たれ、白番の山下が中押し勝ちで
初戦を制した。第二局は八日、滋賀県長浜市の長浜ロイヤルホテルで行われる。

 序盤、双方ともに布石を省略する中、中央での戦いに突入。強力な手を応酬し合う
激しい展開となった。
 当初は河野が独創的な手で主導権を握ったものの、中盤の疑問手から山下は中央
から左上辺にかけての黒一団を取り切って優位に立った。河野は粘り強く巻き返しを
図ったものの、挽回(ばんかい)できなかった。

<山下敬吾の話>
 最初の戦いは難しかったです。中央から左上辺まで黒を取って勝勢になりました。
右下ではもたついて損をしました。いい手がありそうでしたが…。

<河野臨天元の話>
 中盤の黒61から黒65の打ち方がわかりませんでした。白72と急所にツケコされ
ては、苦しいと思いました。

             (北海道新聞社より抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

山下挑戦者が得意の乱戦を制し、好スタートを切りました。先週の王座戦第1局でも
今村九段の大石を屠り快勝と好調です。
今年春先の十段戦で治勲趙十段に敗れた後はイマイチの成績でしたが、今秋から
王座戦、天元戦、来春早々の棋聖戦とタイトル戦が続きます。毎年この時期は山下
棋聖・王座は大活躍の時期ですが、好不調も季節に関係あるのでしょうか。

一方、初戦を落とした河野天元、本局では序盤から積極的に仕掛けて挑戦者を苦し
めましたが、一手の狂いから敗戦の道をたどりました。もともと師匠・小林光一九段
ゆずりの堅実な棋風でしたが、最近は序盤から積極的に仕掛けているようです。
これも国際棋戦の影響でしょうか。

第2局は今日(11/8)行われていますが、熱闘譜を期待しましょう。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は北海道釧路市の「釧路全日空ホテル」。釧路市は平成17年10月
11日に阿寒町、音別町と新設合併し、人口約19万5000人の新釧路市としてスタート
したそうです。

釧路というと美川憲一の「釧路の夜」を思い出します。ご当地ソングとしては古く、
三浦洸一の「釧路の駅でさようなら」というのがありましたね。最近ではご当地ソン
グの女王、水森かおりの「釧路湿原」が有名のようです。



2007-11-06 第32期名人戦第6局/高尾名人が勝ち3勝3敗のタイに

 第32期囲碁名人戦七番勝負第6局は11月1日より甲府市で打たれ、高尾紳路
名人(31)が挑戦者の張栩碁聖(27)に白番半目勝ちし、対戦成績を3勝3敗のタイ
とした。第7局は8、9の両日、静岡県熱海市で打たれる。

<高尾名人の話>
 1日目、右辺の攻防は白がほとんどツブレみたいだった。1日目が終わった時点
では、形勢は非常に悪いんじゃないかと思っていました。2日目は、ただ夢中で打ち
ました。

<張挑戦者の話>
 1日目打ち掛けの時点では、いい勝負か、もしくは少し打ちやすいかと思っていた。
2日目の再開後に、左下隅で白に荒らされたが、こんなに厳しいとは思っていなかった。

<武宮陽光の目>
 この碁のポイントはなんと言っても右辺の攻防だったと思います。名人の「捨て石作戦」
は予定通りであったのか。注目の感想によると「うっかりでした」とのこと。信じられない
ようなことですが、名人の雰囲気ですとどうやら本当のようです。
 ただ、張挑戦者は「生きてもらう方がありがたかった」との感想でしたので、何とも言い
ようがない不思議な運命を感じました。

             (朝日新聞より抜粋)

<依田紀基九段の目>
 第5局もそうでしたが本局は精神力の勝負でした。ここまでこぎつけた高尾さんの根性
はハンパではありません。顔から判断すると、張栩さんは「鋭」、高尾さんは「鈍」。鈍の
タイプは徐々に力を出すのでしょうね。
 それにしてもしんどかったはずです。ちょっとでもしくじればアウトですから。でも第7局
はもっときついでしょう。両者ともそうです。泣いても笑ってもあと一局。じっと見守るばかり
です。

             (週間碁より抜粋)

       ◇  ◇  ◇  ◇

高尾名人、絶体絶命のピンチを薄氷を踏む思いでしのぎ切りました。逆境からの復活力
は鬼気迫るものが感じられます。
一方の張栩挑戦者、名人を追い詰めながらも一歩一歩の追い上げに苦杯をなめる結果
となりました。

今シリーズは主催者、囲碁ファンにとって最高の舞台が整った印象です。
名人側からの星取りは○●●●○○、最後の○がどっちに転ぶか、神のみぞ知ると
いったところでしょうか。明後日から始まる第7局、熱戦譜を期待しましょう。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今年の野球日本シリーズ7番勝負はは日本ハムが○●●●●で敗れてしまいました。
4戦までは名人戦と同じ星取りでしたが、第5戦で中日の勢いが日本ハムを圧倒した形
となりました。中日ファンの小生としては快い一日でした。

       ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は山梨県甲府市の湯村温泉「常磐ホテル」。囲碁名人戦では7回目を
数えるそうです。
甲府といえば武田信玄、NHK大河ドラマ「風林火山」の影響で地元ではいろいろな
イベントが繰り広げられているようです。

大河ドラマ「風林火山」、次週は今川と織田が戦った桶狭間が舞台、織田信長が天下
取りの第一歩となる奇襲作戦ですね。
このドラマの音楽は千住明、颯爽としたテンポと流麗なメロディーがストーリーを盛り
上げます。
「風林火山紀行」での千住真理子(千住明の妹)のバイオリンも澄んだ音色で心洗わ
れる気分です。

武田信玄と上杉謙信、囲碁名人戦でいえば高尾名人が武田信玄、張栩碁聖が上杉
謙信のイメージでしょうか。



2007-11-05 求めない/加島祥造

◆書籍紹介
 ・書籍名:「求めない」
 ・著者:加島祥造
 ・発行所:小学館

本書購入の動機は著者の加島祥造さんが囲碁ファンということを知り、読んでみようと
思いました。
以下、朝日新聞の第2局解説より抜粋

−前略−
 名人戦初めての松本対局とあって、多くのファンが中野寛也九段による大盤解説会
つめかけた。
その中に駒ケ根市在住の詩人で墨彩画家の加島祥造さんがいた。ライバルの中野
孝次
さんが亡くなってからは、ひとりで碁を並べてばかりという。加島さんの評判の
近著が
『求めない』。白38は求めないそのものだなと思った。
結果を性急に求めず、あくまでも厚いまま押し通そうとする態度だ。
−後略−

   ◇   ◇   ◇

この本を読んで「相田みつを」を思い出しました。思想は異なっているでしょうが「心の
持ち方/心のあり方」のヒントになるような気がします。
加島さんの碁友だった故中野孝次さんの著書に「清貧の思想」というのがありました
が、共通点もあるような気がします。

現社会で「求めない」という生き方は難しいでしょうが、心のポケットにしのばせておき
たいと思っています。



2007-11-03 玉村町2007/11月度囲碁大会

今日(11/3)は町内の月例囲碁大会、参加者は20名弱といつもと同じくらいでした。
大会では4局対戦するのですが、今日は先番が1局と5子局の白番が3局でした。

2子〜3子くらいの置碁ですと互戦の感覚で打てますが、5子以上ですとどうしても
薄い打ち方になってしまいます。
たくさん置かせても苦にしないで打つ人もいますが、それなりの技量がないと難しい
と思います。

できるだけハンディの少ない対戦を多くするためには、メンバーを増やすことが不可
欠です。
そのためには魅力ある囲碁会の活動とPRを継続していくことですが、これがなかなか
難問でどこの囲碁グループも悩んでいることだと思います。



2007-11-02 第55期王座戦第1局/山下王座の先勝

10月26日、東京都港区で打たれていた第55期囲碁王座戦の五番勝負第1局は、
白番の山下王座が黒番の今村九段に中押し勝ちした。第2局は11月15日、大阪市
のリーガロイヤルホテルで打たれる。
 序盤はともに時間を使いながら慎重な立ち上がり。白が厚みを構築し、やや山下
ペースに。終盤、黒のシノギ方に疑問があったようで、山下が黒の大石を仕留めて
今村が投了した。

<山下敬吾王座の話>
 序盤から難解な局面が続き、どう打てばいいかわかりませんでした。右上辺の
両ガカリ(64手目から)も自分ではいいかどうかわかりませんでしたが、感想戦で
大矢九段に良かったといわれて、うれしかったです。
 見たことのない局面が続いたので、序盤から時間を使い過ぎました。2局目以降
は考えないといけないですね。

<今村俊也九段の話>
 山下王座の上辺のさばきに感心しました。黒石の方が多いのに、いつの間にか
攻められていました。
 時間についてはいつも3時間制で打っているので、ペースとしてはいつもどおりだ
と思います。

    (日経e-碁サロンより抜粋)

      ◇   ◇   ◇

山下王座が今村九段の大石を潰しての先勝、山下らしい戦いぶりのようでした。
関西の期待を担う今村九段、18年ぶりのタイトル挑戦でしたが苦杯を喫しました。

今年からこの王座戦の持ち時間が3時間に短縮され、両者とも時間一杯の対局と
なったようです。
世界王座戦を意識しての時間短縮のようですが、心構えも違ってくるでしょうね。

現在、名人戦7番勝負が戦われていますが、こちらは8時間。それなりに濃密な
内容になっているように思います。
3時間の国際棋戦と伝統ある8時間の国内の三大棋戦(棋聖、名人、本因坊)、
どちらかに棋風の合う棋士も出てくるような気がします。

      ◇   ◇   ◇

今回の対局地は東京都港区の「ザ・プリンス パークタワー東京」。第2局は大阪市
の「リーガロイヤルホテル」と対局会場の設定も世界戦を意識しているのでしょうか。
和風の老舗旅館が馴染みだった古参の棋士には違和感を覚える人もいるかと思わ
れますが、どうでしょうね。


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