1990(平成2年)10月28日
第3号


巻頭言


●「碁に魅せられて」  鈴木伊三郎(電子販)


 囲碁の面白さを伝えるエピソードや格言は沢山あるが、極めつけは落語の「笠碁」だ
と思う。
 ある大店の隠居同士が碁の対局中に「待った、待てない」からとうとうケンカになり、
互いに絶交を宣言する。このすべり出しで始まる例の話である。

 碁を打ちたいがそれができない状況の中で、身もよじれるほどのじれったさ、もどかし
さを見事に表現している。

 我々囲碁仲間も大小、深浅の差はあるにしてもこれに似た心境を味わった経験がある
かと思う。私も囲碁を始めて20年間「囲碁の魔性」を感じ続けている。この囲碁に対する
熱い思いは生涯弱まることはないと思っている。

 最近、対局数は以前に較べ大分少なくなってきたが、かわりにTVの囲碁番組は絶対
見逃さないし、ファミコン相手に対局もする。また、出張が多いので往復時間に本を開くが、
これは睡魔に負ける場合が多い。

 しかし、囲碁の醍醐味はやはりニックキ「碁敵」を相手に自分のすべてを碁盤の上にぶっ
つける爽快さである。囲碁は「頭脳の格闘技」だから、相手が「碁敵」の場合は絶対に負け
られない。悔しくてしばらく放心状態が続くからである。

   秋深し 遠くで聞ける 石の音



▼ 2/下 囲碁部活動方針

 2/上は月刊碁友会の発行、夏期合宿、各種対外試合参加と活動を行いました。

 2/下は事業所対抗囲碁大会、新春囲碁大会のイベントが予定されており、
その他にも月刊碁友会の定期発行、月例会、毎週の定例会と充実を図ります。

 また、棋力向上、新部員の勧誘については部員の意見を反映し、企画を行っていきます。



▼ 夏期囲碁合宿開催

・日時:9月29日(土)〜30日(日)
・場所:鬼石町「自然活用センター」
・参加者:11名

 今までは有段者と級位者でクラスを分けて対局していたが、今回は抽選でA、Bに
分けてリーグ戦を行い、上位2名が決勝トーナメントで優勝を争う方式とした。

結果は予想どうり有段者同士の決勝となる堀田氏が優勝した。級位者では市川氏が
善戦、3位となった。



◎「囲碁合宿に参加して」 DECO/武田正久

 囲碁部の合宿が大自然に囲まれた鬼石町自然活用センター(神流湖畔荘)で行われた。

 おりしも台風20号が関東をうかがっていた。当日は午後3時より組み分けが行われ、
段級合同で熱戦が繰り広げられた。

 私はクジ引きによりAグループとなったが、こちらのグループは私が苦手としている
人が多く、対戦する前から気分的にすでに負けていた。熱戦が数試合おこなわれた後、
一時休戦で夕食となった。

 夕食後、再び碁盤に向かい激しい戦いを夜遅くまで繰り広げた。私は2勝2敗の成績
となり、決勝リーグに進められなく残念であった。

    ◇   ◇   ◇   ◇


大会成績

Aリーグ成績表
  氏名 部署 段級位 堀田 福田 市川 武田 新井
1 堀田修三 リデ製 3段   4 0
2 福田康夫 試セ 1級 ×   × × 1 3
3 市川公則 生技 1級 ×   3 1
4 武田正久 DECO 3級 × ×   2 2
5 新井茂 生技 4級 × × × ×   0 4


Bリーグ成績表
  氏名 部署 段級位 加藤 鈴木 藤野 中嶋 羽鳥 関根
1 加藤正二 マイコン 3段   × 4 1
2 鈴木伊三郎 電子販 1級   × × 3 2
3 藤野勝洋 諸工務 1級 ×   × 3 2
4 中嶋富美二 LM検 2級 × ×   × 2 3
5 羽鳥和夫 PKG 3級 × × ×   2 3
6 関根良英 東エレ 5級 × × × ×   1 4


  決勝リーグ




随筆


「私の碁」 羽鳥和夫(PKG)


 大人達が静かな和室で木目の鮮やかな碁盤をはさんで碁を打つ姿に、子供の頃から
なんとなく魅力を感じていました。今でも静かに石の音だけで碁を打つのが好きです。

 そんな風に内心よりもスタイルに気がいってしまう私は技術的にも武宮流ではないです
が、高く厚く打って大模様にするのが好きです。しかし中盤以降、囲いを破られて負ける
ケースが多く勝率が上がりません。

 最近ではクラブの後輩の棋力向上が目覚しく、なんとか白をキープしたいと研究に励ん
でいます。

 先日「筋と形」という本を読んで大変参考になりました。敵を攻略するため、自分には
この急所をとらえる感覚が弱かったのだと反省させられました。

 この秋は手筋を磨いてにっくき碁敵をバッタバッタとやっつけたいと思っています。


発行者:加藤正二 編集者:関根良英

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