●○● 天声人碁 ●○●


2005年4月

◎2005/04/27 「三姉妹棋士誕生/向井芳織プロデビュー」

「女流特別採用棋士採用試験」いわゆる「女流枠」の本戦を7戦全勝と文句なしの成績で
突破して、今年の4月からプロデビューを果たした向井芳織(かおり)初段は向井梢恵
(こずえ)初段・千瑛(ちあき)初段のお姉さんだ。

年齢順では長女の芳織初段、次女の梢恵初段、三女の千瑛初段と三歳づつ違い、入段は
次女・梢恵初段(平成 14年)、三女・千瑛初段(平成16年)、長女・芳織初段(平成17年)
の順番となる。

これで三姉妹がプロの世界に揃った。奇しくも三人の師は「本田三姉妹」の本田幸子七段。
師に続く平成の三姉妹棋士の誕生だ。

                               「週刊碁」より抜粋


         ◇  ◇  ◇  ◇

三姉妹プロというのは珍しいですね。両親のバックアップというか、強力な後押しの結果だと
思われます。

梢恵初段はNHK衛星放送「囲碁・将棋ジャーナル」の司会をしていますが、ソフトな語り口で
好感が持てます。

プロの兄弟・姉妹棋士では小林四姉弟(小林千寿五段、小林健二七段、小林孝之準棋士
二段、小林覚九段)、山田三兄弟(山田至宝六段、山田和貴雄七段、山田規三生八段)が
有名です。
いずれも年下の方が段位は上のようですが、向井姉妹はどうでしょうか。

兄弟・姉妹で競って精進する姿は親から見て、嬉しさと心配が重なっているようですね。

         ◇  ◇  ◇  ◇

「本田三姉妹」は長女:杉内寿子八段、次女:本田幸子七段、三女:楠光子七段。
女流タイトル戦の常連でした。

○三姉妹の主なタイトル

◇杉内寿子八段
 女流選手権:4期、女流名人:4期、女流鶴聖:2期

◇本田幸子七段 
 女流選手権:五期、女流本因坊:2期

◇楠光子七段
 女流本因坊位:5期、女流鶴聖:2期



◎2005/04/20 「十段戦第四局/趙治勲、勝ち最終局へ」

 王立誠十段に趙治勲二十五世本因坊が挑戦している「第43期十段位決定五番勝負」第四局は
4月14日、愛知県蒲郡市の西浦温泉で行われ、白番の趙が中押し勝ちし、対戦成績を2勝2敗の
タイに戻した。
 第五局は27日、東京・千代田区の日本棋院で行われる。

                              (産経囲碁Webより抜粋)


         ◇  ◇  ◇  ◇

カド番に追い詰められた趙治勲九段が、往年の鋭さと適確な形勢判断で王十段を寄り切った一局の
ようでした。

一方、五連覇のかかった王十段は一手の緩着が尾を引き敗勢になったようです。

これで本タイトル戦は最終局にもつれ込みました。
勝負師としての根性は両者とも棋界では定評のあるところ、最終局の熱戦が期待されます。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は愛知県蒲郡市の西浦温泉「銀波荘」。囲碁や将棋のタイトル戦は百回以上にのぼる
そうです。

今、愛知県では愛知万博(愛・地球博)が開催されていますが、人出の方はイマイチのようです。
1970年の大阪万博は6,000万人を超える人が入場したそうですが、あの頃に比べ生活様式や価値観が
多様化していますので、それほどの集客力はないように思えます。

この愛知万博にちなんだ囲碁のイベントも予定されています。

         ◇  ◇  ◇  ◇

◆第26回世界アマ選手権(5/24~5/27、愛知県体育館)
 ・史上最多の世界65カ国・地域が参加! 
 ・アマチュア世界一を決定する“囲碁のオリンピック”
 ・75歳の日本代表棋士(菊地康郎)が栄光の金メダルを目指す!

◆愛・地球博 中国館湖南ウィーク、中日囲碁対抗戦
         (5/30、31全日空ホテルズ ホテルグランコート名古屋 )

 ・五人対抗戦  -歴史を築いた好敵手の対局-
   陳 祖徳 ― 林 海峰
   聶 衛平 ― 小林光一
   馬 暁春 ― 武宮正樹
   常 昊 ― 羽根直樹
   羅 洗河 ― 山城 宏

 ・三人対抗戦  -この一局の再挑戦-
   陳 祖徳 ― 大竹英雄
   聶 衛平 ― 羽根泰正
   常 昊 ― 結城 聡



◎2005/04/14 「十段戦第三局/王十段、五連覇へ王手」

 王立誠十段に趙治勲二十五世本因坊が挑戦している「第43期十段位決定五番勝負」第三
局は、両者1勝1敗の後を受けて、4月7日、長野県大町市で行われ、白番の王が19目半勝
ちし、対戦成績を2勝1敗として五連覇に王手をかけた。
 第四局は14日、愛知県蒲郡市の西浦温泉「銀波荘」で打たれる。

 黒部立山アルペンルートの長野県側登山口近くに位置する対局場。ホテルに面したゴルフ
場の芝は雪に覆われ、豪雪の名残を伝えている。

 黒番、趙の二連星と王の高目という珍しい出だしから午前中はつばぜり合いが続き、午後に
なって、両者ともじっくりと時間を使って読みを重ねる。

 中盤では「黒が打ちやすそう」と立会人の小林光一九段。解説の片岡聡九段は「立誠さんは
決めて打つより含みをもたせて打つのが好きだからねぇ」と話した。

 秒読みとなり、口にタオルを当てて、ぼさぼさ頭に手をやり「イッケネェー」とぼやく趙。王は背
筋をピンと伸ばして顔は真っ赤だ。

 「つぶれるかもしれない」(小林九段)、黒の勝負手から二転三転のねじりあいのなか、左上隅
の死活の絡んだ競り合いで、趙の見落としもあって大勢が決した。

                              (産経囲碁Webより抜粋)
         ◇  ◇  ◇  ◇


王立誠十段が苦しい一戦を粘って2勝目をあげました。形勢不利な状況で相手に決め手を与え
ない打ちぶりは業師:王立誠の面目躍如といったところでしょうか。

一方の趙治勲九段、終盤近くまでは手筋が冴え、絶対有利とのことでしたが死活でミスが出て
惜しい一局を落としました。

これで王十段は五連覇へ王手となりましたが、囲碁ファンとしては第5局まで見せてほしいと思
います。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は長野県大町市の「くろよんロイヤルホテル」。大町市の囲碁ファンは十段戦の開
催に春の訪れを感じるそうです。

「くろよん」といえば黒部第四発電所。昭和43年にこのダム建設を舞台にした「黒部の太陽」という
映画が公開されました。

主な出演者は滝沢修、志村喬、佐野周二、三船敏郎、石原裕次郎、辰巳柳太郎などのオールス
ター・キャスト。もう40年近く前にもなりますから、出演者やスタッフの多くはこの世にいません。

ストーリーはよく覚えておりませんが、残雪に映える黒部の景色と難工事を進める男たちの葛藤が
記憶に残っています。



◎2005/04/12 「日本棋院:県支部連合会総会」

先日、日本棋院の県支部連合会総会があり出席してきました。
主な議題は前年度の行事実施報告と今年度の行事計画です。

日本棋院としては囲碁人口の拡大が最大のテーマですが、支部連合会の活動のほとんどは
各種大会の運営に忙殺されています。

普及活動や初心者の育成などに注力すべきと思いますが、組織・資金・人材などパワー不足
というのが実情でしょうか。

世間には普及活動などに関心ある人は結構いると思いますが、組織的な活動となるとなかな
か難しい面があります。

「個々の力をいかに集団のパワーに結集させるか」、これは会社組織に限らずあらゆる集団の
永遠のテーマですね。

囲碁の戦術も個々の石のパワーをどう結びつけるかで、形勢が大きく変わると思います。



◎2005/04/06 「NHK囲碁講座/講師:大竹英雄名誉碁聖」

この4月から大竹英雄名誉碁聖の囲碁講座が始まりました。

前回の石倉昇九段の講座では三分の一程度しか見られませんでした。(正確には見なかった)

講座の内容を理解すれば棋力アップにつながることはわかっていますが、意欲がついていか
ないのが悔しいですね。

         ◇  ◇  ◇  ◇

今回の講座の初回で大竹九段のプロフィールを紹介していました。
大竹九段は昭和17年に北九州市で生まれ、木谷師に見出されて入門しますがその時のエピ
ソードを話していました。

木谷實九段は二十一世本因坊秀哉との引退碁(昭和13年)が有名ですが、その観戦記を書
いたのが文豪「川端康成」です。
川端康成はこの引退碁の観戦記をベースに「名人」という小説を書きますが、この小説の中で
本因坊秀哉の相手となるのが大竹七段(架空の棋士でモデルは木谷實九段)でした。

木谷實九段は「大竹」という名前にこだわりがあったのではないか・・・、
それが縁で大竹英雄の入門が許されたのではないか、というような話でした。
不思議な因縁ですね。

         ◇  ◇  ◇  ◇

私も二十代の頃、川端康成の「名人」を読んだ記憶がありますが、あまり印象に残っていません。
あの頃はそれほど囲碁にエネルギーを費やしていませんでしたからね。
確か、本棚のどこかにあると思います。探してもう一度読んでみようかと思っています。



◎2005/04/04 「張栩、NHK杯優勝で5冠王に」

張栩名人・本因坊は3月に「第24期NECカップ囲碁トーナメント戦」決勝で柳時熏九段に
中押し勝ちし初優勝。
次いで「第52回NHK杯テレビトーナメント」決勝では依田紀碁聖に中押勝ちし、3年振り2度
目の優勝を果たした。

この優勝で張栩九段は5冠王となった。内訳は、名人、本因坊、王座、NEC杯、NHK杯。
本因坊、王座は2連覇中で、名人、NEC杯、NHK杯は4ヶ月以内に相前後して獲得した
もの。


         ◇  ◇  ◇  ◇

張栩名人・本因坊、大活躍ですね。
これだけの多冠王というと趙治勲九段、小林光一九段、加藤正夫九段、坂田栄男九段ら
の棋士が浮かんできます。

ただ、奥方の小林泉美六段が無冠になったのは残念です。やはり主婦業が多忙なので
しょうか。

         ◇  ◇  ◇  ◇

張栩名人・本因坊は台湾出身ですが、まだその日本語はたどたどしいところがあります。

台湾出身で日本語が流暢なのは王銘エン九段だと思います。話し方が滑らかと同時に
人間味と暖かさが伝わってくるようです。


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