上達のキーワード (2001年版)
碁盤は1枚のキャンバス。そこにどんな絵を描くか。まず序盤構想を 楽しみたい。基本は人まねでない自分の世界を築くこと。いたずらに他 人の目にこだわらず、自由に無限の盤上を闊歩(かっぽ)しよう。 さて、良い碁盤を手に入れると、それだけで二目は強くなるという説 がある。常に盤に向かいたくなり、勉強の時間も増えようから、あり得 ない話ではない。年頭に当たり、今年こそは棋力向上を、と願うあなた。 ひとつお試しあれ
人は子を持って初めて親になる。生徒がいるから先生とも 呼ばれる。「教えることが自分の上達につながる。」
これはすべての習いごとに通じる教訓だ。 家族、友人、近所の他人、ついでにそこらの通行人・・・・さあ、 アナタも誰彼なしにつかまえて弟子にしてしまおう。
互いに気心の知れたヘボ同士、軽口言い合いながらの対局も楽し いが、時には初めての碁会所に飛び込んだり、大会などに参加する 積極さも欲しい。 初対面の相手と打つ緊張感は、お休みがちな頭脳に刺激を与え、 アナタの棋力を飛躍的にアップさせてくれる・・・・はずでアル。
長いトンネルを抜けて昇級、昇段。とりわけ初段になった喜びは プロもアマも変わりはないらしい。そして手に入れた免状。思わず 世界中に向かって「この免状が目に入らぬか!と叫びたい気分 になるとか。 そんな気分を味わうためにも精進、精進。是非今年中にはもう一 段階上をねらって下さい。目標を持ったものは強い。出来ないはず はない。 合言葉は「根性で免状を!」頑張りましょう。
碁を打って強くなる実戦派と本やテレビなどの媒体利用の書斎派。 どちらに偏っても「高段への道」を意識するなら、上達は望めません。 実戦ではどうしても得る知識の限界がある。そこで書斎派としての 絶対時間の使い方が上達を左右するポイトとなります。書斎派として の学習は、好きな棋士の碁を並べることです。 結局最後にモノを行ってくるのは「筋力」です。何だかんだ言っても、 力のあるものが勝つのです。そのためには、詰碁は欠かせません。 ---「棋道」より---
1.プロの碁を並べること 細かい読み云々より碁の持っている雰囲気、ニュアンスを感じ 取るのです。 2.基本的な詰碁を解くこと やはり即戦力となる読みの力を養い、手筋を詰碁を通して知る のです。 3.失敗を恐れずに、碁に愛情を注ぐこと 技術面だけでなく、精神面の強化が必要です。ともかく碁が好 きになること。 ---「棋道」より---
強い人のそばにいて、いいモノを吸収すること。碁が強くなりたければ、 局後の研究が一番です。沢山打つだけでなく、一局を振り返ることの大切 さを知ることです。 感想戦では「必勝手筋」は強い人のそばにいることです。いくら熱心に研 究しても、棋力が同じレベルでは得るものが少ない。だだ、強いけれども筋 の悪い人に教わるのは危険が一杯です。 大切なのは細かい攻め合いのハウツウではなく、基本的な碁の考え方が 重要です。まず自分より二子位上の人をぴったりマークして、やがて追い抜 いたら、つぎの二子上の人について、これを繰り返して何人も踏み越えて行 けば「高段への道」が意外と近いものですよ。 ---「棋道」より---
「それは・・・絶対に勝ちに行かないこと、そして負けないように打つこと」 少々石田九段一流のジョークと聞こえるが、コンピュータと言われる史上最年 少本因坊の実績を持つ神童の会得した必勝哲学と納得が出来る。 負けないように打つことがやはり難しいのです。勝ちを意識すると薄くなりま す。交互に打っているので、一方的に有利になることがむしろ希であることを理 解すべきでしょう。 ---「棋道」より---
「いい相手と楽しく打つこと。楽しいのが一番です。」 技術的には、詰碁を沢山解くことでしょう。 強くならなくとも楽しいのが囲碁です。楽しんでばかりいては上達は如何 かと思います。 林九段の話に「碁は相手が負けてくれるもの」という言葉があります。碁 の勝負は、妙手や好着より、ミスがいくつ出たかで決まることが殆どです。 だから勝とうという気持ちを忘れてミスを防ぐ方が、結果につながるとの ことです。前述の石田九段の必勝法と共通するところが多い。 ---「棋道」より---
「美しく打てば碁は勝てる」というのは一見奇妙な言い方だが、ゴルフで もスキーでも、フォームがきれいでないと上手くなりません。 碁も布石だ、手筋だといろいろと詰め込んでも、肝心の碁の形というもの に注意を払わないと実戦では勝てないものです。 愚形、悪形でも平気で打ち進めていって、中盤以降になって弱点だらけで 収拾がつかなくなってしまう。アマの碁の殆どが、こんな風な実戦を打っている。 これでは10年打っていても進歩がないのは当然です。 大竹美学の神髄の言葉で、殆どのアマ棋士は身につまされるアドバイスと 思います。 ---「棋道」より---
まずは意欲を持つこと。基本的にいって、碁は教えたり、教えられたりす るモノでないと思います。自分で学び、自分の力で強くなるというのが本 筋です。無論ある一定のレベルの者にだけ通用する考え方ですが、意欲の ない者に碁を学べといっても、ヌカに釘です。 次に重要なことは、置き石は多めに置くことです。ともかく自分が勝てる まで多めに置いて打たないと、上手は真剣に打って来ません。上手は勝つ ための、あらゆる手段を繰り出して来ます。これを凌いで勝つことが上達 への基本です。 最後は、苦労も楽しみのうちと心得て、努力なくして上達する方法がない ことを肝に銘じておくべきです。アマ高段を目指そうというほどの人なら、 実戦にも棋書にも偏ることなく。苦労しながら研究を続けることです。 ---- 棋道より ----
熱心に囲碁雑誌などを読んでも、なかなか三段から先に進めない人が多い。 四、五段の域に達するには、単なる「知識」の量ではなく、「思考に大きな飛躍」 がなくてはならない。 定石、手筋・・といった断片の集積を超えて、「一本筋の通った碁の思想」をもつこ とが、棋力の飛躍的向上には欠かせないのです。 確かに、高段への上達には、碁に関する総合的な考え方の飛躍が必要のよう です。 ---- 棋道より ----
読む力を強くすること」そのためには、地なんて気にせず「戦う」ことです。 元気よく、数手先を読むこと。素直に考えて、まず自然な手が大体は良いと したものです。 《 失敗を恐れずに、戦って戦って戦い抜くことです。 》 ---- 棋道より ----
碁と一緒にいる気持ちが大切。生活の中に、碁でうずめた時間を設ける こと。「習うより慣れろ」という言葉は、当然ながら碁にも当てはめられ るのだ。 上達のためにの三つの「き」が必要です。 1.好きであること 2.やる気をおこすこと 3.根気良く続けられること 以上の三つの「き」がそろっていさえすれば、碁は強くならないはずは ない。 強くなる三つの方法とは、打つ、見る、教わることです。特に見ること では、自分より強い人の碁を見るのが上達の有効な手段です。教わるには、 上手とうつ、悪いところを手直ししてもらうことと自分の打った碁を見て もらうことです。 当然のことながら、強くなるためには、かなりの碁キチにならねばなら ないことだけは確かなようです。 ---- 囲碁に強くなる本より ----
−囲碁の素読法− 何も考えずに、高手の碁を徹底的に並べなさいと言うこと。 並べている途中で、こう打てばどうなる。そんな疑問が涌いてくるがそれは 枝葉末節とのこと。ただ無心に並べることが大切なのである。 そうすれば、おのずと「碁盤全体が見えてくる」というのだ。 一局を空で並べられるまで、徹底的に挑戦すれば、頭からでなく、石を打ち 下ろす指先から覚えて、それが伝搬して最後に頭の細胞に到達するとのこと。 プロの修業時代では、日常の学習のようですが、アマがこれを実践するのは 至難の業です。
アマチュアの皆さんに「いい失敗を沢山して下さい」と言っています。 囲碁では安全勝ちは殆どありません。むしろ安全に打つと「安全に」負かされ るのが囲碁なのです。 それならば負けを恐れずに、しかも負けた時に悔いのないように積極的に打つ ことをおすすめしたい。
◇◇ 「いさぎよさ」 ◇◇ 囲碁をしなければ良い友達だったなんて、今まで仲の良かった友人と囲碁を キッカケに疎遠になってしまうケースも少なくありません。 お互いが勝ち負けのみに固執するあまり、明らかに相手の間違いを期待したと 思われる打ち方や、どうにもならない形勢でも最後まで打ち続け、「ダメ」をつめ ている間に手が生じることを狙ったりなどで、逆転勝ちしても相手から「もう、あな たとは打たない」とか、受付等に「○○さんとは当てないでください」などの注文 があったりすることは、ときどき目にする出来事です。 囲碁は投了するという「いさぎよさ」が重要です。 ---- 日高敏之HPより ----
◇◇ 「うわ手とじょうずにつきあう 」 ◇◇ 上手な「うわ手」(5子以上)とのつきあい方ですが、碁会所等で「うわ手」 の方に可愛がられる妙手を伝授しましょう。 1. 自分が失敗した時点で、即、投了する。 2. 失敗した部分について、再度挑戦する。 3. どうすれば良かったか教えてもらう。 誰でも勝てばうれしいものですから、失敗したら即、投了することにより、 相手は勝ちの喜びを味わえますし、短時間で決着がつくので、うわ手から 「もう一局」との声がかかりやすいです。 すぐ、もう一局ではなく、失敗した部分について自力で再挑戦しましょう。 その後に教えてもらうのが上達の近道です。 「うわ手」の方も教えたい人は結構いらっしゃるものです。 ---- 日高敏之HPより ----
◇◇ 「手談 」 ◇◇ 「手談」により相手を理解しましょう。 囲碁は相手の良いところを見つけ、自分に取り入れる最高のゲームです。 常に、長所を探すことだけに目を向けると、すべての人が先生に見えて くるかも。 ---- 日高敏之HPより ----
◇◇ 「ジコチュウをなくす」 ◇◇ 囲碁によって「ジコチュウ(自己中心)」がなくなりますよ。 勝手ヨミをしても、認められることは少ないように、相手が自分の思い通りに 動かないことがわかるでしょう。相手の立場に立ち、理解することで何をしたら 喜ばれるかがわかります。 普段のつきあいの時は、喜ぶことをしてあげられるし、対局の時は、その道を 避けることができます。 相手の考えや立場を理解することが、自然にできるようになりますよ。 ---- 日高敏之HPより ----
◇◇ 「形勢判断と優勢な時の考え方」 ◇◇ 級のうちは(有段者も)相手の地が大きく見えてしまうものです。 途中に形勢判断をしても、欲がからんできて、冷静な判断ができない のが現実でしょう。 即席形勢判断法がありますので紹介致します。 1.現時点で、黒・白好きな方を選べるなら、どちらを選ぶかを考えます。 選んだ色が自分が持っている色なら優勢となります。 2.自分が優勢な時には相手の地や石よりも自分をチェックしましょう。 @自分の弱い石はないか。 A自分の地は完全か。 B相手の立場になり、自分が負かされる可能性を探します。 C可能性の高いものから消していき、なくなれば勝ちとなります。 ---- 日高敏之HPより ----
◇◇ 「局面の主導権を握る」 ◇◇ 攻めることと、石を取ることとは違います。しかし、それを混同、と 言うよりイコールと思っている方が実に多い。 攻めるのは、石を取るのが目的でなく、攻めることにより、局面の 主導権を握ることが最大の目的です。 石は滅多に取れるものではありません。 プロの場合、相手が無理を承知でやってきた、とか形勢非と見て勝負 にかけてきた、とかいう場合以外はまず取れません。
---- 加藤正夫九段 著「攻めの法則と構想力」より ----
◇◇ 「もちもちの関係」 ◇◇ 何でも同じだと思いますが、自分の有利な土俵で戦うのがコツ。 逆に言えば、そういう土俵に持っていくのが攻めの効果なのです。 アマの皆さんは、攻めている時は強いが、逆に攻められとからっ きしだらしない。攻められる立場で大事なことは「もちもちの関係」 を維持することです。 自分だけが弱いのではなく、相手の弱いところも狙い不安を与えて おく。相手に弱いところがなく、一方的に攻められる、これが一番い けないのです。 ---- 加藤正夫九段 著「攻めの法則と構想力」より ----
◇◇ 「弱い石を攻める」 ◇◇ うまい攻め方は、相手を包む込むように打つことです。その最高 の形が封鎖。それには相手より一歩でも先に出ていなければなり ません。 上でも、横でも、斜めでも、相手より一歩でも先行する、これは碁 で最も大切なことの一つです。 碁は「相手の一番弱い石を攻める」のが一番のコツ。そして、戦っ て戦って戦い抜くのです。それが上達にもつながります。 今度、碁敵と囲む時から、さっそく心がけて下さい。碁も一味違っ てくるでしょう。 ---- 加藤正夫九段 著「攻めの法則と構想力」より ----