上達のキーワード (2002年版)



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(1)


   「もちつもたれつ」

レッスンをしにいって、聞かれることが有ります。『なんで悪くなったんだろう?』
とか『打ち過ぎたな〜』と言うセリフを良く聞きます。その様な時に大体共通して
思うことがあります。

一番多いのは、自分の事しか考えてないタイプの方(^^)ひたすら地を稼ぎ、厚み
を築き、石を攻めて…と、自分が楽しいことを追求してる方がいらっしゃいます。
そう言う方に限って前出のセリフが出てきます。まあ、確かに趣味ですからそれで
も良いのですが、もう少し相手の都合も考えると良いのですが…

かく言う僕も師匠 から『相手もプロなんだから…』と怒られた経験が有ります。

碁は最終的には陣地が多い方が勝ちになります。ただ、その最終目標までに自分
一人ではなく、相手も一緒になって目指している…って事を忘れなければ大丈夫(^^)

対話のゲームと呼ばれる碁です。相手の方との見えない対話を楽しみましょう!

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(2)

   「初めての指導碁。」

僕が初めて指導碁を打っていただいたのは、中川先生です。雑誌の企画で年齢は
10歳か11歳だと思います(レッツ碁現在の囲碁未来です)。
当時どの位だったのかな〜恐らくアマチュアの4,5段位だと思うんですが…結果は
当然!負けです(笑い)

その時に記憶にあるのが、局後、中川先生に『取りに来られたら白が危なかったね〜』
等の感想を戴きました。その時に僕が『プロの石は取れないと思って…』と発言したそう
です^^。ちょっと言い方は違うと思いますが、プロ棋士の石だから取れるはずはない!
と思ったんでしょうね(笑い)

やはり、下手(したて)の方は上手(うわて)の方に恐怖感を抱きますね。これが、必要
以上に読みを狂わせる事が有ります。例えば、『手を抜くと危ないのでは…』と心配した
り『白が手を抜いたのだから何もないだろう…』と攻めるのを止めてしまったり(^^)

やはり、幻を恐れる前に自分の読みを信じましょう!強い方と打つ時に置き碁で打ちま
すね?石を置いた時点で互角なのですから…後は自分を信じて頑張って下さい(^^)/

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(3)

   「上達するには…」

上達法に関して少し話を…

と言っても正直これだ!と言う決定版などありません(笑い)あれば教えて欲しいですね〜
まあ、そう言ってしまうと今日の日記は終わってしまうので、僕なりの考えを。

一番は実戦です。しかし、いつも相手が居るわけではないですね?忙しくて碁会所に行く
ヒマがない…そんな時はやはり本ですね。その中でも僕は詰め碁をお奨めします。移動の
時でも出来ますし、一応碁盤が無くても出来ます!

詰め碁でも色々な本があります。僕がアマチュアの方に奨めるのは簡単な詰め碁です。3
手から5手程度で終わる詰め碁…がお奨めです^^
やはり、あまり難しいのはどうかと思います。眠くなっちゃいますよね!

そして、少し考えて解らないときは答えを見て下さい。その答えを覚えます。特に一手目
が肝心です。なぜなら、一手目が見た瞬間浮かべばしめた物^^その形の急所が浮かぶよ
うになります。

詰め碁を解くことによって、読みの力も付きますがそれと同時に急所の感覚も付くのでは…
と思います。参考までにどうぞ試してください!

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(4)

   「研究会」

昔(今でもかな〜)先生から言われて印象に残ってる事を…

院生の頃碁を見ていただいて、僕が手堅く手を入れた場面がありました。
そこで先生から『何で手を入れたの?』と…僕は『味が悪いと思いました』と答えました。
すかさず先生は『どういう風に味が悪いの?』と聞かれました。

そこで、僕は言葉に詰まりました。実際味が悪いだけで手はありません。
要するに僕の読みが甘かったのです。

味が悪いから(手がありそう?の意です)…と思って入れるのではなく、実際にどう手に
なるのかを考えなくてはいけないですね。先生は僕が読みが甘くて楽しようとしてるのを
咎められたんだと思います。

それからは何とか自分なりに考えて、味が悪いかどうか考えるようにはしてるのですが…

皆さんも打ってるときに一手手を戻すのは大事なことですが、具体的に何が嫌か少し考え
ると良いかもしれませんね!

ただ、あまり考えすぎると…悩みすぎに注意してくださいね(笑い)

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(5)

   「第一勘」

僕等棋士が最初に考えるのは自分の第一勘が正しいかどうかの確認から入ります。
で、確認の結果が良ければそのまま打つことが多いですね。
まぁ、確認がまちがえだったて事はあるのですが(苦笑)

アマチュアの方は第一勘の手を信じる前に他にいい手はないか?
と考える方が多いのではないかな〜と感じます。

その結果良くない手を選んでしまう事が。

局後に指摘をしますと『最初はそこが浮かんだんですよ〜』と言う一種の決めぜりふ?
を聞く事があります^^

最初に浮かんだ手は大方の場合は、自分が一番打ちたいところが浮かぶはずです。

ですからアマチュアの方には特にその「一番打ちたいところを大事にする」ことを
お奨めします^^

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(6)

   「勉強方法」

囲碁の勉強方法は大きく分けて3通りあります。対局、棋譜並べ、詰め碁です。

この3通りはどれが必要?と言うことではなく全部必要です。

●詰め碁で読みや急所を見分ける力をつけます。
●プロの棋譜を並べて序盤の感覚や碁盤全体を見渡す力をつけます。
●その全てを試して自分の考えを実際に表現する場・・対局となります。

この中で人それぞれ好き嫌いがあります。
そこで、棋譜並べに重点を置く人は布石が上手くなります。でも、少し接触戦に弱点
があるかも・・。

詰め碁が好きな人は接触戦に強くなります。でも布石で遅れることが多くなります。

これを全て完全に打とう・・これは難しい事です。プロでも棋風と言ってそれぞれ得手
不得手があります。

ただ、プロですから不得手な闘いであっても全然ダメ・・と言うことはありませんが。

ですから勉強するに当たって大事なことは詰め碁、棋譜並べ、対局すべてする事が
大事です。
ただしその中で自分が好きな物を見つけた方が良いと思います。

一時間勉強するなら、40分棋譜並べ20分詰め碁・・と言う風に好きな物を少し多く
時間を割く。そうすると勉強も長続きすると思います。

自分の弱点を克服する・・これはある程度強くなってからで大丈夫です。具体的には
5,6段位まで来てからでも大丈夫です。

それから、1日5分でも良いので毎日続けるのが良いと思います。電車の中で本を読
むとか、新聞の囲碁欄を毎朝眼を通すとか・・。

僕が子供の頃に良くやったのは詰め碁でした。父から雑誌の切り抜きの詰め碁を渡さ
れてそれを考えます。
解ったら父のところ行き正解を並べます。答えは父が持っています。で、正解か不正解
か・・言われます。そんなことをやっていました。

プロを目指す勉強・・となるとまた少し違いがありますが、そこに至るまでの勉強は楽し
く焦らず少しずつが良いのではと感じます。

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(7)

   「否定すると言うこと・・。」

アマチュアの方に講座や指導碁の時に質問を受ける事があります。その時に『相手
が悪手を打ってきたのに自分が悪くなった・・』とか『相手の手は定石に無い手なのに
・・』とか聞くことがあります。

この様なケースの場合大方のケースは、みなさん相手の着手を否定しています。
相手が悪手を打ってきた=咎めなくてはいけない、相手が定石を間違えた=潰さなく
てはいけない等々。

その考え方が良くないと思います。囲碁は相手を咎めるゲームではないと思います。

まずは相手の着手を認めた方が良いと感じます。そんな手があるんだ!と。その上
で対策を練ります。少しだけ自分が良くなるためにはどうしたら良いか・・

その為には自分が悪くならないことです。五分五分なら上出来だと思います。6分4分
なら大満足。それ以上を求めると考え方が独善的になり、読みに抜け落ちが生じる確
率が高くなります。

五分五分に分かれること自体なかなか難しい事です。さらに儲けを出そうと思ったら
大変なことになります。

相手の手を認めること・・これをすると相手の良い手が自分の力にもなります。相手の
手を否定的に見ると自分の力にはなりません。対戦相手に勝つのを目標とするゲーム
ではありますが相手を否定するゲームではありません。

置き碁でも同じ事が言えます。置かせてるからと言って正しい手を打っているとは限り
ません。むしろ逆ですね。白を持ってる方のが追い付こうとして嘘手が増えてきます。
その中で嘘手をいかに打たないで頑張るか。それが白の考え方だと思います。

黒の考え方は白の恐怖にいかにうち克つかだと思います。手のないところに読まない
で手入れをしてしまったり・・と言うのはその典型ですね。

話が少し逸れたようです(笑)

大事なのは相手の着手を尊重することだと思います。そうすると相手の良い手や良い
考え方が自分の力になるのでは・・と感じます。

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(8)

   「勝手読み、見損じ。」

囲碁を打つ上で色々なミスが出ます。その中で『勝手読み』とか『見損じ』等の言葉
を聞きます。

言葉は違うのですが、内容は似たような内容になります。が、僕らプロの間では実際
はこの言葉はあまり使いません。観戦記などの記事の中には出てきますが・・。

普段の自分ならこれくらい読めるのに・・とかそこが危なかったのは判ってたのに・・とか
の気持ちを言葉で表現すると見損じ等の表現になるのでしょうか。

少しでもこのようなことが減るためにはどうしたらいいか・・。
絶対無くなる方法なんていうものは存在しませんが、参考までに・・。

囲碁は一対一のゲームです。相手に勝つことがゲームの中での目標になります。

その中で、相手の着手の裏をかくとか上を行く事が一つの目標となります。その時に自分
にとって都合の良い読みなどをした時に見損じや勝手読みがでたりするのでは?と感じます。

そこで!ですが。そのようなケースが多い方は目の前にいる人は自分だと思ってください。
つまり、自分の相手は自分なのです。自分の読んでることは相手も読めている・・と思う
方が良いと思います。

そうすれば、相手は読めないだろう!とか自分の都合だけを考えた着手などが減るのでは?
と感じます。ご参考までに。

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●鈴木伊佐男 七段 のアドバイス(9)

   「勇気」

院生の頃に教えてもらっている時や記録をしている時・・今でも一流の先生方の棋譜を並べて
いる時・・感じることがあります。

わからない事だらけなのですが、勇気が必要だと言うことは感じます。
踏み込む勇気、辛抱する勇気・・矛盾するようですがどちらも勇気です。

難しいのは踏み込む勇気と「うそ手」の違い。辛抱する勇気とジリ貧との違いでしょうか。
踏み込んで勝負を決めにいく・・のは必要です。しかし、相手の間違いを期待して無理をすること
とは違います。

形勢が苦しいときに離されずに我慢して・・とただ我慢だけしてそのまま・・とは違います。

ただ実際の対局の中でそれを判断するのは難しいことです。
やはり、自分に嘘を付かない・・事なのでしょうか。無理だと思ったら無理だし、いけると思ったら
頑張る・・でもこれが一番難しいのかもしれませんね^^

---- 鈴木伊佐男プロ HP より ----



●「発想を変える淡路語録」よりNo.1

   「碁は理論で動く、その日の気分は禁物」

 アマチュアに共通した欠点に、その日の気分に影響されやすいことが
あげられます。

気持だけが先行して、自分の傷にも気づかない。そんな経験、ありませんか?

    ----- 「発想を変える淡路語録」より -------


*** そうなんですよね。日によって強気になったり弱気になったり。
   その意味では、対局時の精神状態を安定させるのが第一ですね。 ***



●「発想を変える淡路語録」よりNo.2

   「間に合わせの先手より、正しい後手」

 じっくりと力を蓄え、次に相手への攻めをみる。
先を急ぐだけが碁ではありません。

間に合わせの先手より、正しい後手を打つことをおすすめします。

   「後手を引いても正しい手を」

 碁は先を急ぐばかりが能ではありません。むしろ後手を引いてもじっと
形を整え、次のチャンスを待つほうがいい場合が多いものです。

    ----- 「発想を変える淡路語録」より -------


*** いわれてみればナルホドと思いますが、この感覚はムズですね。
   基本を勉強していないと・・・ ***



●「発想を変える淡路語録」よりNo.3

 「ヤキモチを焼くか焼かないかがプロとアマの差」

 相手の地が大きく見えてしまうのは、アマチュアに共通する弱点の
ようです。だから彼我の石の強さを忘れて、相手の勢力圏に飛び込
んでしまう。

 相手の陣にスキがない場合、単独突入は大いに危険。仮に全滅し
なくとも、深入りは相手を厚くさせて得にならないとしたものです。

    ----- 「発想を変える淡路語録」より -------


*** 自分だけ得をしようという精神が問題ですよね。
   「Give & Take」でいきましょう。 ***



●「発想を変える淡路語録」よりNo.4

 「碁では義理堅さは考えもの、時には反発を」

 場合によっては仕方ないこともありますが、碁では義理堅さが
必ずしもいいとは限りません。

 時には強く反発することも必要です。

    ----- 「発想を変える淡路語録」より -------


*** ただ、反発し過ぎて自滅することもあるので、
   その辺の加減が問題ですよね。 ***



●「発想を変える淡路語録」よりNo.5

 「メリットのある石と、ない石を見極めよう」

 囲碁は仕事をしている石が多いほうが勝つゲームです。
どの石も均等な力を持っているわけではありません。

 価値のある石とない石を見極めることも、大切なテクニック
といえるでしょう。

    ----- 「発想を変える淡路語録」より -------


*** 何でもそうですが価値の見極めが重要なんですネ ***



●淡路語録があなたを変える(1)

◆@4つのキーワード◆

   「大場は暇があったら打て」

  攻めと守りの要所(急場)  地の場所、地の大きい所(大場

皆さんは「大場」という言葉にだまされていませんか?
大場、つまり地の大きな場所に目を向けたばかりに、大切な攻めと守りの
要所である「急場」を見逃してしまう。

急場はすべての大場にまさるのです。
「大場は暇があったら打て」はアマチュアの”大場依存症”に警鐘を鳴らした
言葉なのです。

「碁は石と石との生存競争である」と教わった人と、「碁は地取りゲームである」
と言われてきた人とでは、おのずと碁の考え方が違うように思います。

淡路塾では徹底して前者の態度を採ってきました。碁は戦い。
そう考える方のが上達が早いようです。

---- NHK囲碁講座10月号より抜粋 ----



●淡路語録があなたを変える(2)

◆@4つのキーワード◆

   「先手は媚薬、一に保留、二に保留」

「大場」とともに、危険な香りがするのが「先手」という言葉です。
「先手だから」「先手は打ち得だから」などと言いわけ(?)しながら、
つい先手の甘い誘いに乗ってはいませんか?

「先手」が媚薬になる理由、それは先手を行使するといい仕事をしたと
思ってしまうからです。先手を取るために、大切な「財産」を
失っているのも知らずに・・・。

「アタリ、ノゾキを利かすな」も重要な淡路語録のひとつです。
むやみにアタリ、ノゾキを決めたために相手を固めたり、
あるいは自分の弱点が残ったりすることが多々あるのです。

碁は保留することに「美」があるのです。

---- NHK囲碁講座10月号より抜粋 ----



●淡路語録があなたを変える(3)

◆@4つのキーワード◆

   「碁は力学である」

ふだん私が淡路塾の人たちに口を酸っぱくして言っている言葉です。

私は碁を陣取りゲームという観念では教えていません。あくまで石と
石との生存競争であり、そのためにはお互いの石の強弱関係、つまり
「力学」を常に念頭に置いて打つようにすすめています。

「兵力の少ないときは講和条約を」これも力学に沿った淡路語録です。

また「厚みに近づくな」という格言も力学です。

---- NHK囲碁講座10月号より抜粋 ----

 → ただ、どの程度の強弱か判断力が必要ですね。



●淡路語録があなたを変える(4)

◆@4つのキーワード◆

   「カケツギは好形の見本」

私は好形の見本として、いつも「カケツギ」を例にあげています。カケツギは石が
連絡していることはもちろんですが、眼形が豊富で、弾力に富んでいるのが好形
とされる所以です。

好形は読み云々ではなく、目で覚えるものです。

囲碁で好形とは、石が機能的に働いているということです。碁は力勝負と思い
がちですが、実は形よく打つことが上達につながるものです。

気がついたら好形になっていた。そんな碁を打ちたいものですね。

そのためにはプロの碁をできるだけ並べて、好形を目で覚えることをおすすめします。

「カケツギ」は必ずしも万能ではありません。それどころか愚形と隣り合わせの一面も
持っているのです。
「カケツギはアキ三角と隣り合わせ」という語録もあります。

自分の形だけにこだわらず、相手に好形を許さないことも大切です。

「カケツギは好形の見本」ですが、例外もあることを知ってください。とくに「アキ三角」に
は気をつけて・・・。

---- NHK囲碁講座10月号より抜粋 ----



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